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南海一号 南宋時代四大文明の再現に期待(4)「海のシルクロード」の盛況を再現
発信時間: 2008-01-07 | チャイナネット

 南海一号は12月21日ついに再び日の目を見た。この、世界で最も古く、船体も最大、保存状態も良い遠洋貿易船には6万~8万の文物などが眠っているとされる。それゆえ世間の人々の期待を一身に集めている。

 これらの文物や船本体には、いったいどんな考古学上有益な情報がつまっているのだろうか。専門家が言うには、南海一号を引き揚げることにより、少なくとも南宋時代の文明上の四大現象が再現可能だということである。

宋代の磁器文化の繁栄

人々の日常生活を再現

宋代の造船技術を再現

 

「海のシルクロード」の盛況を再現

 

史料の記載によると、両漢(前漢・前206-25、後漢・25-220)時期、ひいてはさらに早い時期から中国の中原(中央部平原)地域と沿海地帯の商人は陶磁器、綿布類、絹織物などの商品を船に積んで、福建省、広東省などの港から出発し、遠くインドまで航海し、さらにエジプト、ローマなどの国に中継輸送した。これがよく知られた古代の「海のシルクロード」であった。「南海一号」の船首は南西240°の方向に向けられ、専門家はそれによって、当時この船は海外貿易のために西アジアあるいは中東地域へ航海していたかも知れないと推測している。それも泉州港、広州港から広東省西部の沿海海域を経由して東南アジアさらにはインド、西アジア地域に通じる「海のシルクロード」の航路に向かうはずであった。

「海のシルクロード」についての研究の多くは、長期にわたってずっと文献資料に頼ってきた。海上のルートで発見された実物的資料は非常に稀であった。「南海一号」の前段階の探査の中で海底から引き揚げられたものの多くは、中国と外国との間の貿易商品であり、その中には磁器を主とし、金の装身具、漆器、金属製品などもあった。

魏峻氏によると、「南海一号」から東南アジアと中東地域の特色をもった模様を施したものや鉛をめっきすることで銀を模倣した磁器の砕片を大量に発見し、また幾重にも重なって置かれている鉄製のなべなどもあった。それによって、船主は中国の原材料を使って国外の取引先のためにあつらえた生活用品であると推測することができ、これはその時代にすでに「サンプル委託加工」の貿易形態が存在したことを示している。

考古学者の黄偉宗氏によると、シルクロードは世界的によく知られた中外経済・文化交流とかかわりのある古代文明の遺跡である。古代のシルクロードは主に中国の2種類の特産物――絹織物と磁器の輸送に使われた。陸のシルクロードは主にラクダに頼って輸送を行ったが、ラクダが歩き出すと荷物が上下に揺れるため、絹織物、茶など破損しにくい品物を輸送することしかできず、磁器などのわれやすいものは必ず海上のルートを通じて輸送しなければならなかった。「南海一号」での初歩的な発見は、海のシルクロードは主に陶磁器のルートであったことを裏づけるものである。

考古学者たちは、「南海一号」に対して発掘と研究を行うことは、古代中国の「海のシルクロード」と密接な関係のある一時期の歴史の空白を埋めることができ、近代の中国文化史上の2回の大発見――「甲骨」と「敦煌」遺跡の発見が甲骨文字学、敦煌学の生み出すきっかけとなったように、「南海一号」の引き揚げは「海のシルクロード学」の発展をもたらす可能性があると見ている。

 

「チャイナネット」2008年1月7日

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