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黄友義氏:翻訳はもっとも力のあるメッセージ
発信時間: 2009-11-13 | チャイナネット

 

世界の同業者との交流と協力を推進

国際翻訳家連盟の副主席に就任してから、とりわけ昨年、中国翻訳協会が上海で「第18回世界翻訳大会」を主催してから、世界の翻訳界における中国の発言権はこれまで以上に高まりました。

最近開かれた国際翻訳家連盟の理事会では十数人の専門委員会の人選が行われましたが、翻訳標準化委員会、国際翻訳教育育成委員会、国際翻訳版権委員会、国際翻訳多文化交流委員会、国際翻訳技術委員会などのメンバーとして、多くの中国人が選ばれました。これらの委員会に中国翻訳協会の代表が入ったのは初めてのことです。国際翻訳家連盟で仕事をしている中国人は私一人ではなく、たくさんいるのです。

翻訳の問題について議論する際、中国人がいれば、中国人の声が反映されます。しかも、中国大陸の翻訳者が翻訳委員会に入るだけでなく、香港やマカオの翻訳者もこういった国際組織に入れるよう、私たちはさまざまな努力を払っています。

このように新たに構築されたプラットフォームを通して、世界にもっと中国の翻訳について理解してもらい、中国の翻訳を理解することで現在のリアルな中国を知ってもらうことができると考えています。

翻訳は苦しくも楽しい仕事

翻訳は外国語を母国語に訳すのが国際慣例になっています。

中国が直面している問題は、中国人を助けて、中国の政治、経済、文化、テレビ番組、映画作品及び地方の外資誘致資料などを外国語に翻訳できる人が世界にいるかどうかということです。私はいないと思います。中国人がやるしかないのです。これが私たちの弱点です。しかし私たちはそれを引き受けるしかありません。そうすることでミスが生じることもあります。中国文化の精髄を海外に伝えるのではなく、かえって笑われてしまうのではないかと考える人も多いと思いますが、これは翻訳だけのせいにはできません。もちろん、翻訳者本人のレベルを高める必要がありますが、その翻訳を用いる人、それが管理者であれ、プロジェクトの責任者であれ、優れた翻訳を選ぶことができなければ、それはその人のミスであり、翻訳そのもののミスではありません。

翻訳業に従事したいと考えている人にとって、いまは絶好のチャンスです。国が開放の度合いを強め、グローバル化が進み、情報の流通量が増えるにつれて、翻訳の需要も拡大しているからです。チャンスはあります。しかしそれをつかめるかどうか、業績をあげることができるかどうかはまた別です。それは何にかかっているのでしょうか? 私の経験から言えば、翻訳というのは非常に苦しく、非常に孤独な仕事です。第一に、孤独に耐えられなければなりません。第二に、物事を厳密に突き詰める精神が必要です。大体こういった意味だろうという気持ちではやっていくことはできません。一字一句推敲を重ねなければならないのです。

第三に、真面目に自ら励むことです。ほかの人がテレビを見ているときに、外国の文学や言葉、文化、そして自国の歴史やまだ自分が知らないことついて研究しなければなりません。私は常に大きな頭脳的プレッシャーを感じています。もし外国語を目にすることがなければ、なにか欠けているように思うほどです。

第四に、新しい物事は非常に多く、必死で学ばなければなりません。私は翻訳の仕事を始めてから10年経って、ようやく少し自信がつき、独り立ちした気持ちになりました。いまは独りで仕事をすることができます。10年経ってようやくこのような気持ちになれたのです。ほかの仕事だったら、こんなに長くはかからないでしょう。私個人の感覚では、この仕事は心を静め、地道に、孤独に耐えて、他人に理解されなくても我慢し、黒子の仕事に徹しなければなりません。

しかし、一つ多く言語を身につけていれば、一つ多くの考え方ができ、一つ多くの角度から物事を見ることができます。プロの翻訳者というのは一種の病気で、何かを見るとそれを翻訳したくなります。翻訳のプロセスは二つの文化の比較のプロセスなのです。したがって、二つの文化のもっとも優れたものを理解することができ、そこには言い尽くせないほどの楽しみがあります。

私はプロの翻訳者になる人が増えるよう期待しています。私たちが歩いてきた道は大変困難な道ではありましたが、歩いてみなければそこにある大きな楽しみに気づくこともできません。皆さんが自分の仕事に誇りを持てる翻訳者となり、多才で、知識の豊富な人となることを願っています。

「チャイナネット」 2009年11月13日

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