中国科学院の院士(アカデミー会員)で中国月探査計画の首席科学者、欧陽自遠氏はこのほど、中国科学技術館で講演を行った。欧陽氏によると、月探査衛星「嫦娥3号」は西昌衛星発射センターから打ち上げられ、ランダー(着陸機)には7種類の観測機器が搭載される。その中には天体望遠鏡も含まれており、月から天体観測を行うのは世界でも初のこととなる。人民日報海外版が23日に伝えた。
同望遠鏡の開発を担当する魏建彦研究員によると、この望遠鏡は「紫外望遠鏡」と名づけられており、将来の月面天文台建設に向け、試験的な意味合いを持つものだという。
魏研究員は「20世紀に米国が月探査を行った際、カメラほどの大きさの望遠鏡を月面に持ち込んだことがあるが、その望遠鏡はとても小さく、技術的にも現在ほど進んだものではなかった。その後、40-50年間にわたって、天体望遠鏡を月に持ち込んだことはない。したがって、中国の嫦娥3号が搭載する『紫外望遠鏡』が、月面から天体観測を行えば、『世界初』と言うことができるだろう」と述べる。
魏研究員は「月面で天体観測を行う意義は大きい」と述べる。月からの天体観測では主に、恒星や惑星などの天体運行の変化を観測する。長期間の観測?記録により、変化の規則を割り出せば、地球の保護および宇宙の探索に役立つ。また、月面からの天体観測は、地球や宇宙軌道上で行うよりもメリットがあるという。
魏研究員は「技術的には、中国は遅くとも2020年には月面に天文台を建設できる」としている。(編集SN)
「人民網日本語版」2010年8月24日