中国科学技術大学の沈延安教授はこのほど、ペルム紀末の大量絶滅の新説を発表した。同教授によると、今から2億5千万年前、有毒気体を大量に含む低酸素海水が深海から断続的に浅い水域へと湧き上がり、これが生物の大量減少・絶滅の重要な原因となったという。この研究成果はすでに英オンライン版科学雑誌 「Nature Communications」で発表されている。新華網が28日に伝えた。
古生物化石の分析によると、過去5億4千万年の歴史の中で、地球上では5回の生物大絶滅が発生している。うち、今から2億5千万年前のペルム紀末の絶滅では、海洋生物種の90%以上が消失し、大量の陸上生物が絶滅した。世界各国の科学者はこの絶滅事件について長期的に研究し、多くの理論やモデルを打ち立ててきた。
沈教授は国家自然科学基金委員会・傑出青年科学基金の援助により、浙江省・煤山の断面で詳細な地球化学研究を行った。教授らは煤山断面において様々な硫黄同位体の構成を正確に測定した結果、絶滅発生の時期、硫黄同位体の構成が時間とともに段階的に異常を示していることを発見した。教授は硫黄同位体の分留原理とペルム紀の海洋化学構成から、硫黄同位体の異常は低酸素海水が断続的に湧き上がったためであると見ている。ペルム紀末、深海の海水は酸素不足であった上に、一部海域では二酸化炭素と硫化水素が集中していたことが多くの証拠により明らかとなっている。これらの海水が浅い水域へと湧き上がり、海洋生物の大量絶滅が発生した。(編集SN)
「人民網日本語版」2011年3月1日