林国本
中国は宇宙ステーション構築の中で、研究、開発、実験をくり返してきたが、最初に打ち上げられたモジュール実験機と11月1日に打ち上げられた「神州8号」が11月3日宇宙でのランデブーとドッキングに成功した。これで中国もアメリカ、ロシアに続いてこの分野での技術をだんだんと掌握することになった。北京の一部新聞は「宇宙でのキッスに成功」という見出しでこれを伝えている。
テレビやメディアではCG(コンピューター・グラフィックス)でテクノロジー面の詳しい説明をくり返しており、国民にとっても科学知識の普及となり、勉強になる。
こういう先端技術は百パーセント自主開発しなければならないので、それこそ何百回、千数十回という地上でのシミュレーションを行い、宇宙空間でドッキングするまでの軌道の転換、姿勢の調整を行い、起こりうる状況をできるかぎり想定して、それへの対応をあらかじめ考え、それでも、実際に宇宙で起こりうることをすべて予想することは不可能という条件の中で、あえてこの一大プロジェクトに挑戦した人たちの勇気、構想力、構築力には脱帽せざるを得ない。
ある学者が宇宙でのドッキングには予知不可能なこともあり、このプロジェクトそのものがハイリスクのものと言っても過言ではない、と語っていた。私もシロウトとしてハラハラしてテレビを見ていたが、ドッキングに成功して喜ぶとともにヤレヤレという気持ちになった。学者たちは、まだまだこれから地球への帰還などの課題が残っている、と言って、次の段階の仕事に目を向けているようだった。