林国本
先般、日本のメディアが、国内市場が飽和状態になることを想定して、日本の食品企業(キュー・ピー)がマレーシアに工場を設立することになった、というニュースを伝えていた。そして、この面での事業に詳しい人をゲストとして招いて、いろいろ話を聞いていた。以前、日本のある商社がオレンジ・ジュースを中東市場に輸出して当てたという記事を目にしたことがあるが、これはあくまでも個別的なケースであろう。今回の場合は、多品目、多品種の長期的な輸出を考えたものなので、本腰を入れて取り組む決意が読み取れる。現地に滞在した人からも、イスラム圏の宗教、習俗、食習慣について詳しく聞いていた。
日本にも中近東から来て滞在している人がいるし、かつては閣僚クラスの人の中にもアラビア語を勉強した人もいたが、全般的に言って、実生活の中でイスラム系の人と非常に近い関係にある人は少ない。そのため、今回の中東進出はある意味では初体験にひとしい。
とにかく、まずマレーシアに足場を築いて、できればFTAに便乗してインドネシアまで視野に入れ、さらには中近東へと向かうことを想定している。
私がこのニュースに特に注目したのは、先般、中国の寧夏回族自治区に赴いた時、地元の人たちから寧夏でも、中近東に食品を輸出していることを耳にしたからだ。中国にはイスラム教を信仰している人たちがかなりいて、その食習慣もよく知っているので、この点では都合はよいが、それでも、いろいろ気を使わなければならないこともある。