国家発展改革委員会環境資源司の王善成副司長は、中国中央テレビ局のインタビューに応じ、「埋立と焼却は表面的な対処で、根本的な対処ではない。重要なのは根本から減量することだ」と語った。
北京のゴミ問題に長年関心を寄せる北京師範大学環境史博士の毛達氏は、「減量化、資源化、無害化の原則を守り、総合的処理という路線を歩めば、資源は多くなる。どの処理施設も成分を考慮する必要があり、高い熱量で焼却を行い、分別を行ってこそ良好な効果が得ることができる」と話す。
北京は十数年前から住民によるゴミ分別を試みているが、未だに進展はない。宣武区建功南里は北京でもっとも早くゴミの分別を試験的に行った地区で、国際オリンピック委員会の視察団の訪問先にも選ばれ、多くの研究者が次々と訪れた。今では、家庭でゴミの分別を行う住民も少なくなっている。
ゴミの分別は、焼却による汚染に大きく関係する。北京のあるゴミ処理場の責任者は、「調査研究では成分が単純な生ゴミで実験したために効果が良かったが、実際に回収されるのは半分が生活ゴミで、スリッパやストッキング、ビンなど何でもある。そのため設備の安定した運転は難しく、追加投資を何度も行い技術を改善するしかない」と話す。
焼却炉に入れられるゴミの不安定な成分と熱量は、設備の安定した運転と汚染の抑制に試練を与えている。李坑ゴミ焼却発電所第2工場の環境影響報告書によると、分別回収することで塩素を含むプラスチック、重金属を含む電池や電灯などが焼却ゴミに混入することが減り、これは汚染物質を抑制する最良の方法である。
日本と台湾では、一部のゴミ処理企業は周辺住民に電力や熱を無料で供給したり、周辺住民が利用できるスポーツジムや公園を建てるなどの措置を採っている。
台湾で市民はゴミ焼却工場の建設を反対していたが、今では運営の監督に参与するようになっている。台湾の「清華大学」の凌永健教授が所属する団体は監督を行う独立第三者機関として、いつでも工場に入ることができる。設備のレベルは徐々に向上し、市民に受け入れられるようになったという。また、台湾のゴミ分別・減量政策は実施から5年が経つが、生ゴミと廃棄物の回収率は倍増し、台北の生活ゴミの1日当たりの処理量はピーク時の3695トンから1500トンに減少した。
北京のゴミ分別も日程が組まれ、新たな試行が進められ、水分の多い生ゴミは小型設備でその場で処理するよう要求された。これについて徐海雲氏は、「当然、成功させたいと思っているが、これも多くのコストがかかる」と語る。
清華大学・環境工学科の王偉教授によると、「十二・五(第12次5カ年計画)」期間中、国はバイオマス系廃棄物の処理と資源化利用のプロジェクトを推進し、それには生ゴミから発生するメタンガスを利用した発電などのプロジェクトも含まれる。「これは比較的よいやり方で、技術の発展に力を入れるべき」と王偉教授は話す。
ゴミ焼却に反対する中国環境科学院の専門家、趙章元氏は次のように見ている。資源化処理を行う一部の会社の新技術は確かに改善の余地があるが、それらは国の政策面の支援を受ける必要がある。現在の状態でゴミ焼却に多くの資金と力が注がれた場合、その他の処理方法は発展が難しくなる。
番禺区は、ゴミ処理施設の用地を選定しなおし、考察を行うと同時に、ゴミの分別回収の試行を段階別に行うことを発表した。番禺区委員会の譚応華書記は、「現在、事業主に生ゴミ粉砕機の使用を奨励しており、最終的な処理方法は各方面で話し合って決める」と話す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年4月1日