中国のごみ問題②焼却の悩み

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発信時間: 2010-03-25 17:22:47 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 

多くの疑問に対し、北京市市政市容管理委員会の王維平・副主任技師は、「ゴミ埋立場の建設は国家基準に合致しているが、設計容量がごみの増加量に追いついておらず、厳しい管理もされていない」と述べ、過負荷状態の稼動や管理問題により設備が負担に耐えきれず、臭いが基準を超えるという事態になっていることを明かした。

「十一・五(第11次5カ年計画)」では、ゴミ焼却発電やゴミ埋立処分場で発生するメタンガスを利用した発電の発展を支援し、将来的に再生可能エネルギーとすることが提起された。2007年に国務院が通達した『省エネ・排出削減総合活動案』では、ゴミ焼却発電と熱供給が奨励され、電気料金の優遇策が出された。

「埋立は土地資源をひどく破壊し、このまま続ければ1年で500ムーが荒らされるが、焼却は90%の土地を節約することができる。焼却はゴミ処理の最良の方法ではないが、北京のように人口密度が高く、土地資源が豊富でない都市では焼却のほうが適している」と、王維平氏は話す。

ところが、関係部門がゴミ焼却の推進を決定したのと同時期に、広州市番禺区のごみ焼却発電所では問題が勃発し、その討論は全国に広がった。

広州李坑ごみ焼却発電所は永興村に建設された。発電所の稼動から4年で、永興村では60人以上がガンになり、うち肺ガンは45例に達した。稼動前にガンで死亡した人は12年で9人だった。

李坑ごみ焼却発電所と付近の永興村第12隊はわずか1枚の野菜畑で隔てられており、多くの住民が約300メートル離れたところに住んでいる。村民の范秋梅さんは、「発電所の煙突から黒や色のついたガスが出ていることがよくあり、このようなガスが汚染にならず、人体に影響を及ぼさないということは有り得ない。今では村民が栽培した野菜は太和鎮で売れなくなっている。多くの人は野菜が汚染されており、人体に害があると心配している」と話す。

李坑ごみ焼却発電所を運営するフランスのヴェオリアは、村民の苦情を受け、技術改造を行うことを承諾した。

「専門的な調査を行うまで、ガンの発生率の高さはゴミ焼却発電所によるものとは断言できない。李坑ごみ焼却発電所は政府の環境基準に合った運営をしており、環境保護局のスタッフが毎日工場に来て測定記録をつけている」と、ヴェオリアの環境サービス技術総監督の張進鋒氏は述べる。

広州市都市管理委員会の報告によると、工場稼動からの4年間、環境保護測定での指標はどれも基準を満たしており、中でもダイオキシンなどの主な汚染物質排出指標はEUの関連基準にも達している。これがごみ焼却発電所に反対する番禺の住民をさらに心配させている。「事実が目の前にあるというのに、基準に達していてこういう状況なら、焼却による汚染を抑制できるとどのように証明するのか」と。

中国は2004年に公約を履行することを承諾し、契約履行計画を提出した。うち、生活ゴミの焼却は「中国が優先して抑制するダイオキシンなどの主な排出源」に盛り込まれた。そのほか、焼却で発生する飛灰、残留物、汚泥などダイオキシンを含む廃棄物も汚染源である。飛灰に含まれるダイオキシンや貴金属などは危険廃棄物として管理する必要があるが、国内では基準、規範、設備などがまだ不足している。

「中国の生活ゴミの構造は欧米諸国と大きく異なる。有機質が多く、運搬中にゴミが腐りやすく、埋立処理の難度と汚染の程度を高めている。また、水分が多いためゴミの分別が困難で、埋立量は増加し、土地資源を消耗する」と、中国塑協塑料再生利用専門委員会の董金獅副会長は話す。

中国環境科学研究院の研究員である趙章元氏によると、有機質や水分の多いゴミは不完全または不安定な燃焼を引き起こしがちで、ダイオキシンなどの汚染物質が発生しやすいという。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年3月25日

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