「中国エネルギー中長期(2030、2050)発展戦略研究報告」が2月28日、北京で発表された。同報告は、中国の持続的発展が可能なエネルギー戦略を「科学的、グリーン、低炭素」と表現し、省エネ・効率アップ・エネルギーニーズの適切な制御を最も重要なエネルギー戦略として掲げたほか、中国は「一人あたりのエネルギー消費を、米国など先進国の水準を大きく下回るよう抑制する」という戦略思想を確立しなければならないと提起した。「科技日報」が1日に伝えた。
中国工程院は2008年1月にエネルギー中長期発展戦略研究をスタートした。工程院の謝克昌副院長によると、同研究プロジェクトでは、省エネ、石炭、石油・天然ガス、原子力エネルギー、電力、再生可能エネルギーという6つの課題グループとプロジェクト総合グループが設置されたほか、研究の過程でさらにエネルギーの「限度」、環境、クリーン・コール、水素エネルギーなどの特別研究グループが増設され、院士計40人あまり、専門家100人あまり、大型エネルギー企業の指導者らが研究に参加した。
「報告」は、中国経済がすでに、「発展モデルの転換」が必要な重要な時期に突入しているとし、以下のように指摘した。
エネルギーについては、「第10次五カ年計画」以来、中国のエネルギー消費量は速すぎる成長を遂げ、10年間で3.2倍に増加し、資源環境に大きな圧力をもたらした。現在、中国のGDPが世界のGDPに占める割合は10%に満たないが、エネルギー消費量は20%以上を占めている。また、排出される汚染気体は世界一多く、温室効果ガスの排出は世界の25%を占めている。GDPあたりのエネルギー消費、汚染物排出量、二酸化炭素排出量はどれも多すぎる。中国の石炭年間生産量は30億トンに達したが、生産過程で科学的要求を満たしているのはそのうちのわずか半分以下であり、半分以上は安全生産、環境生態保護に向けた国際基準を満たしていない。資源と環境の重すぎる代価、構造の不良、効率の低さ、エネルギーの安全は、中国のエネルギー分野に存在する主な問題となっている。
「報告」はまた、以下のように指摘した。
中国のエネルギー強度が2020年に2005年比44%低下し、2030年に2005年比68%低下したとしても、依然として日本・ヨーロッパのエネルギー強度の2倍に相当する。しかも、先進国のエネルギー強度は今後も引き続き低下するだろう。中国は、一人あたりGDPを4000ドルから2万ドルへと発展させていく上で、初歩的な生産力の投入に長期的に頼るわけにはいかず、品質・効率を重視し、革新によるけん引、内需によるけん引、健康的な消費という科学的な発展の軌道へと転換していかなければならない。(編集SN)
「人民網日本語版」2011年3月2日