世界とともに「渋滞の時代」に突入しようとしている新興国の大都市に比べ、もう30年もの長きに渡って道路の渋滞問題と戦ってきた東京は、世界で最も渋滞をコントロールできている都市であると言われている。東京は渋滞を制御する「必殺技」を持っているのだ。少しずつ渋滞問題の解決に乗り出している中国にとって、東京の経験と知識は参考にすべき点も多い。
「30年もがむしゃらにやってきたので、一言では語り尽くせない」と東京都庁の治安対策本部・渋滞対策研究の専門家である湯川雅史さんは述べた。
民間投資による交通機関建設 飽和状態に
「東京の電車や地下鉄などの軌道系交通機関の建設はおおむね終わっている。飽和状態に近く、東京のほぼ全てを網羅できている。新たに建設できる場所は見つけるのは難しいだろう」と湯川さんは言う。1980年代から大規模な建設が始まった日本の公共交通機関は、東京の交通システムの心臓部であると言える。
湯川さんは「今後予想される修復工事を可能にするため、政府は様々な方法を考えた。その結果、債券を発行して民間の投資を誘致し、交通機関の経営を民間企業に委託した」と明かした。現在、東京の交通機関の90%が民営化している。
データーによると、外出の際、公共の交通機関を利用する東京都民は全体の86%を占め、ニューヨークの54%、パリの37%、ロンドンの35%を大きく上回っている。また、乗用車での外出は全体の11%を占め、バスやバイク、その他の交通機関は1%だった。
経費を費やし支線道路を増やす