考えられた「制限」策は実施されずに
「渋滞問題に取り組み始めて30年、考えられてきた方法は実に多種多様だ。駐車料金をもっと高くする、ガソリン税を引き上げる、環境税や自動車購入の制限など、渋滞問題を根本的に解決することはできないため、結局は実行に移されることはなかった。渋滞は大都市の永遠の難題である。もう30年間やってきたが、今後の道はまだまだ長いと感じる」と30年間の渋滞対策を振り返りながら、湯川さんは強調した。東京が成功した点は、車の流れを「制限」するのではなく、「スムーズ」にしたことにある。
東京では自動車の購入を制限する政策を実施した事はなく、人々の自動車所有率は高い。東京の渋滞状況を見ると、確かに「スムーズ」にする方法は「制限」を加えるよりも功を奏したようだ。人々に車を買わせないよりも、道路がどのくらい込んでいるのかに気づいてもらい、車で外出しないように呼びかけたほうが効果的であると湯川さんは言う。人々にとっても「制限」されるよりは、その方が受け入れやすいのだ。高い駐車料金などで「制限」を加えようと考えたこともあるが、東京の駐車場のほとんどが民営であるため、政府が勝手に介入して価格を引き上げることは難しい。
湯川さんは「長年、急速な発展を続けてきたため、東京という過密都市はもはや限界まできている。これ以上、都市を拡張することも難しい。私たちは30年間ずっと、より良く改善する努力をしてきた。交通量をいかにして分散できるかをいつも考えてきたのだ」と言う。
東京都は今、東京の商業の中心地域をいくつかの地域に分け、交通量を減らすことを目指している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年3月2日