今の北京の交通渋滞は誰もが頭を抱える問題になっている。朝6時半以降は、幹線道路はもちろん、細い路地でさえ車の流れが止まることはない。マイカー通勤の人にせよ、市バス通勤の人にせよ、こうした毎日の道路交通状況に誰もがイライラしている。交通管理部門もひどくなる一方の北京の道路事情に頭を抱えている。
だが、東京はどうだろう?交通渋滞の緩和の対策は今でも東京都交通局の長期的な任務の一つである。だが、東京では、朝8時以前の通りはとても静かなのだ。朝の出勤と夜の帰宅の時間帯になると、確かに車の通行量も増えるが、常に交通規則に従いスムーズに流れている。大渋滞で名をはせた20年前の東京の道路事情は今では垣間見ることも出来ない。
管理が行き届いた東京の道路交通にはきっと何か素晴らしい手段が講じられているに違いない。公共交通機関が発達すれば、人々はより合理的な手段を用いて外出するようになる。東京の道路交通事情を垣間見ることで、中国の交通環境を改善するのに何かヒントを得られないだろうか?
渋滞とその解消対策
日本に駐在していた十数年の間、ナンバー規制や時差通勤などといった渋滞対策は聞いたことがない。また、特定の車両は、時間帯によっては市街エリアを走行できないなどといった車両規制も聞いたことがない。乗用車であろうと大型トラックであろうと、それが土砂を運搬するトラックであっても、東京都内の道路を走る権利が平等に与えられていた。
街に車が増え、日本人がまず考えたのは「車両の数を制御すること」ではなく、「道路を広げ、公共交通機関を発達させる」ことだった。日本駐在期間、東京の至る所で道路拡張工事が行われていたことが深く印象に残っている。特に、夜10時以降、通りを走る車が少なくなってから、ライトをつけ深夜工事をしている光景があちこちで見られた。通行規制を伴う道路工事は車の通行量が多い昼間には出来ない。道路工事を請け負う業者は、臨時のセンターラインを道路に設置し、配備された警備員が誘導棒で車の通行を誘導し、スムーズに車が流れるよう取り計らっている。
東京では、交通渋滞の問題は、車のオーナーの責任ではなく、道路交通局や交通管理部門が対策を練るべき問題なのだ。
毛細血管論