全米経済研究所がこのほど、気候変動問題を軽視し温室効果ガスの排出を抑制しなければ、世界経済は深刻な影響を受け、2100年までに世界の1人あたり国内総生産(GDP)は気候変動により7.22%低下するとの報告を発表した。
『気候変動がマクロ経済に及ぼす長期的影響:国際分析』と題した同報告は米国の南カリフォルニア大学、イギリスのケンブリッジ大学などの研究者が共同で作成。過去のある研究は、温暖化が貧困国と灼熱の国の経済に及ぼす影響は富裕国と寒冷な国に及ぼす影響より大きいとしたが、今回の研究はこの論断に疑問を呈し、適切な気候変動対策を講じなければ、貧困国、富裕国、寒冷な国、灼熱の国にかかわらず、世界の全地域の経済に大きな影響が及ぶとの見解を示した。
報告は、適切な対策がとられない場合、現在の動向に基づくと、世界の平均気温は毎年0.04度上昇し続け、2100年までに世界の1人あたりGDPはこれにより7.22%低下するとした。また、各国が『パリ協定』を遵守すれば、世界の平均気温の上昇速度を年間0.01度に抑え、2100年までの世界の1人あたりGDPの減少幅を1.07%に大幅に削減できるとした。
報告によると、世界平均レベルを比較すると、米国経済が気候変動から受ける影響は大きい。研究結果を見ると、温暖化対策をとらなければ、2100年に米国の1人あたりGDPは10.5%減少する見通し。『パリ協定』の目標通りに温暖化を抑制すれば、米国のの1人あたりGDPの減少幅は1.88%に削減される。
米国は世界の排出大国だが、トランプ政権は『パリ協定』に反対し、同協定は米国経済を破壊すると考えている。また、米国の政界にも、米国は革新的な措置で気候変動に対応できると考える人が多くいる。同報告を作成した研究者は上述の観点に疑問を抱いている。彼らは、対策は気候変動の経済への影響を減らせるが完全になくすことはできず、少なくとも、米国の政策の効果は非常に限られているとの見解を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年8月22日