今年10月14日から21日まで、私は幸運なことに、2009年度中国青年代表団第2陣・メディア分団の一員として、1週間にわたる訪日交流活動に参加した。今回の訪日活動で、私は見聞を広めることができた。短期間であったため、本当の日本の姿を見ることはできなかったが、いくつかのちょっとした事柄から私たちが学ぶべき日本の一面に触れることができた。
1.日本の環境と日本人の環境保護意識
日本では、にぎやかな都会のビルの谷間でも田園風景が広がる村の道端でも、至る所で青々と茂った樹木や芝生を目にすることができる。東京は地価が高く空間的余裕がないものの、緑化率が約65%に達しているので、想像していたほど街が混雑している印象を受けなかった。東京と名古屋の街頭でゴミ箱を見つけるのは面倒なことだった。ゴミ箱を設置しない目的は、人々になるべくゴミを家に持ち帰り処分してもらい、街の環境を清潔に保つためだという。街頭にゴミ箱が設置されていなくても、捨てられた包装用の袋、飲み物のビン、タバコの吸殻などは、見つけるのさえ難しいくらいだった。工事現場の側をたまたま通りかかった時も、塵や埃をほとんど目にしなかった。
日本の清潔な環境は日本国民の強い環境保護意識と切り離すことができない。日本での活動プログラムの1つ目は環境に関するセミナーだった。この中で、千葉工業大学惑星探査研究センターの松井孝典所長が中国青年代表団全体に対し行った「俯瞰的に見た地球環境問題」と題する講義から、日本政府が環境保護の周知をいかに重視しているか理解することができた。また、日本のレストランで使用する割り箸が中国国内のものに比べ明らかに短かっただけでなく、通訳として私たちに同行してくれた鎌田浩子さんは食事の時いつも自分専用のきれいなマイ箸を使っていた。鎌田さんによると、日本では外食の際マイ箸を使うことがトレンドになっており、個性を表現すると同時に、環境を保護することにもなるという。このような点から、環境保護意識が日本国民の生活の隅々まで浸透していることが分かった。こうした行為は取るに足りないことに思えるが、全ての人が日々少しずつ積み重ねることにより、資源節約で驚くべき成果をあげることができると言える。
2.日本の交通と日本人の法令遵守意識
訪日活動日程により、私たちは新幹線に2回乗車した。新幹線は運行時間も停車時のドアの位置も非常に正確だ。プラットホーム上には、整列乗車を促す矢印がはっきりと描かれ、利用客は皆自ら進んでドアの両側付近に立ち、静かに並んで乗車を待っていた。車両内部はさらに一段と静かで、おしゃべりや電話の話し声を耳にすることはなかった。「他人に迷惑をかけない」という日本人独特の文化に感心せずにはいられなかった。新幹線は開業から45年間、人為的要因による死亡事故が1件も発生していないため、世界で最も安全な高速鉄道と称されている。
東京で、北京のような人が多く騒々しい様子や交通渋滞は見られなかった。街中の道路と高速道路は幅が狭いが、1週間の訪日活動の中で渋滞に巻き込まれることはなかった。この原因として、ドライバーも歩行者も交通ルールを厳守している点を挙げることができる。私たちは自動車や歩行者が信号を無視する光景を目にすることはなかった。日本では歩行者が横断歩道を渡っている時、ドライバーは必ず歩行者に道を譲るので、クラクションを鳴らし急かすことはありえない。日本側随行者の平田敦子さんによると、日本には交通専門の警察はなく、日本人のマイカー利用率が非常に低いほか、通勤目的のマイカー利用がとても少なく、地下鉄やバスの利用が中心となっている。このような高度に発達した利便性・効率性の高い公共交通ネットワークが交通の整然とした秩序を維持しているという。
3.日本の食事と日本人の健康意識
日本を訪れる前、私は日本料理があまり好きではなかった。生ものや冷たいものが出されることが多く、味が淡白だからだ。日本に到着した後、私は日本人の食事量が一般的に少なく、特別な宴会を除き、昼食と夕食のほとんどが定食スタイルであることに気づいた。野菜のおかず1皿、味噌汁1杯、刺身数切れ、ご飯を小さな茶碗1杯という組み合わせで、必ずあっさりとした味付けになっていた。しかし、受け入れ側の日中友好会館の方々が私たちの好みに気を配り、期間中何回も中華料理と焼肉バイキングを用意してくれたので、私たちは皆食事にとても満足することができた。
プレッシャーが強くペースが速い仕事と向き合う中で、このように少ない食事量では体が持たないのではないだろうか。こんな疑問が私の頭の中を駆け巡った。日本側随行者によると、これは日本人の生活習慣となっており、日本の定食スタイルの食事は科学的根拠に基づき栄養素が組み合わせられ、体が必要とする各栄養成分を満たしている。また、食べすぎは浪費になるだけでなく、肥満や一連の随伴疾患を容易に引き起こすという。これは正に日本で肥満の人をあまり見かけない原因だと思った。7日間で、私は徐々に量が決められた定食に慣れ、空腹感を感じなくなった。中国国内には「超重肥満児(標準体重を上回る、あるいは肥満状態にある子ども)」が1200万人おり、世界中のこうした子ども1億5500万人のうち13人に1人が中国の子どもとなっている。この主な原因の1つに不適切な食事習慣を挙げることができる。こうした点から、日本人の食事の組み合わせ方と健康意識は私たちが真剣に学ぶ価値があると言える。
わずか7日間の訪日交流活動はあっという間に終了した。スケジュールはかなり詰まっていたが、私たちは可能な限り日本を観察し理解し、そして体験した。しかし、実際には、いつも私たちの側でサポートしてくれた平田さん、鎌田さん、木暮さん、佐々木さんの仕事に対する真面目さ、慎み深く隅々まで心配りする姿勢、時間を守り礼儀正しい態度から、日本文化を最も直接感じることができた。「見賢思斉(賢人を見て自分もそのような人になりたいと思うこと)」、これが私にとって最大の収穫だと感じている。
筆者:中国青年代表団 メディア分団の魯学博秘書長
「チャイナネット」 2009年10月