日本の学者木村福成氏が、最近出版された『東アジアFTAと日中貿易』という本の中で、日本は、東アジア諸国の政治体制や発展の段階とは大きなギャップが存在することを理由として、経済的統合を積極的に実施しているが、政治や軍事の面での対話には慎重な姿勢をとっている、すなわち、政治と経済を分離すべきだという考え方を持つと指摘している。
しかし、アジア最大の経済体としての日本は政治の面で、積極的な姿勢を示さなければ、アジアの台頭の望みはなくなってしまうだろう。アジアの発展の中で生じた問題を全面的に解決する際、中日両国が連携すればこそ、大きな成果をあげうるからであり、また、両国は次のような有利な要素を持っているからである。
まず、中日両国のGDP総額は東アジアの80%にのぼり、両国の経済関係も非常に重要な地位を占めている。中国はすでにアジア経済の牽引力をなっている。
また、中日両国とも資源・エネルギー消費大国であり、多くの情報チャンネルや供給ルートを確保している。現在、1バレルの石油の価格は90億ドルを上回っている。国際市場におけるエネルギーの値段をいかにして安定化させるのかということで、省エネ技術は肝心な要素である。この面では、日本は豊かな経験を積み上げている。同時に、中国のエネルギー消費量が日増しに増えるにつれて、世界市場の石油価格の安定化には、中国の省エネが重要な役割を果たすに違いないと見られている。
さらに、21世紀に入って以来、グローバル化は世界諸国に、環境問題、自由貿易秩序の問題、金融問題及び知的財産権問題など一国の力で解決できない一連課題を突きつけている。アジアの台頭のため、中日両国は連携しなければならない。
二つの人口の多い民族として、中日両国はそれぞれの優位性を持っており、どちらも相手に取って代わることができない。両国は自らの歴史・文化を持っており、また共同の文化的な根源がある。たとえば、中国の高校生と同じように、日本の高校生も国語の授業で、唐の詩を古典として勉強している。近代以降、中国も日本からたくさんの語いや科学システムの語いを導入した。現代の中国語の中には、大量の日本語の語いが残っており、現代の中国の思想の基盤を構成する要素ともなっている。たとえば、組織、規律、社会主義、資本主義などがそれである。
要するに、新しいアジアの建設の中で、中日両国が連携し、アジア諸国が連帯してこそ、アジアがともに発展し、ともに豊かになることが可能となるのである。(文=劉迪氏 在日中国人学者)
「チャイナネット」2007年11月13日