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ライターの多田麻美さん:胡同暮らしに魅せられて
発信時間: 2008-10-15 | チャイナネット


プロフィール

1973年静岡県生まれ。京都大学で中国文学を専攻後、雑誌の編集、記者の仕事を経て、フリーランスで記事の執筆や翻訳を手がけるように。芸術・文化関連の記事を中心に執筆。近々訳著『城記』(王軍著)を刊行予定。ペンネームは林静ほか。

おすすめスポット

今行くべきお勧めの場所、それは保護地区外の、今後消失する危険が大きい胡同。もし強いて1カ所を挙げるなら、「官園」の一帯だ。ペット市場があり、老北京たちの奥深い趣味の世界を垣間見ることもできる。

 

楽しく愉快な大雑院の毎日

北京の街を縦横に走る路地、胡同。その両側を埋める伝統住宅、四合院の片隅で暮らし始めて5年近くになる。もっとも、四合院といっても、1つの敷地に何世帯もの家族が住む、いわゆる「大雑院」の一角だ。

大事な生活情報を教えてくれたり、郵便物を代わりに持ってきてくれたりと、隣人たちは外国人の私にとても親切に接してくれる。春節(旧正月)前夜に、隣のおばさんが、あなたは独り暮らしだから、と茹でたてのギョーザを届けてくれた時は、心から感動した。また、私は園芸に関しては下手の横好きに過ぎないのだが、それを見て取ったあるおばあさんは、わざわざ「2週間に1度水をやればいいだけの苗」をプレゼントしてくれた。不便な大雑院暮らしをとても楽しく感じる第一の理由は、こんな近所づきあいの豊かさにある。

街中の果樹園

このほか、歴史や自然が身近に感じられることも、四合院で暮らす大きな魅力だ。歴史の余韻を留める四合院は、遥かな想像をかき立てる。実際、興味深い歴史を経ているケースは無数にあり、私が北京で2番目に住んだ四合院も、ボロボロでこそあったが、かの西太后と縁のある建物だった。

あちこちの胡同を気ままに散歩し、古い建物の歴史を調べるのは実に楽しい。明清時代の氷の蔵や、牢獄の跡などが見つかったり、歴史的に由緒がある家の子孫の方に出会ったりすると、胡同が隠し持っていた豊かな表情に気づかされる。まるで歴史物語の海を泳いでいるような気分だ。

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