そのため日本政府は5月に『宇宙基本法』を発表し、3カ月後の内閣では首相を本部長とする宇宙開発戦略本部を発足させた。同本部は来年5月に、最初の完備した宇宙開発に関する基本計画を策定することになっている。
現在、日本政府はODAを活用して、インドネシア、ブラジル、エチオピアとの衛星技術協力を強め、森林資源の保護や環境犯罪の防止、河川管理などの分野で衛星情報を提供している。しかし日本政府からすると、宇宙外交は少数の国との関係構築にとどまるだけでなく、協力の範囲や規模を拡大して、完備した宇宙外交システムを構築しなければならない。
このシステム構築の背後には、中国との競争がこめられている。例えば2006年4月の自民党内の宇宙開発特別委員会の中間報告では、「国連安保理常任理事国入りについて、中国は宇宙技術を利用して途上国を取り込んでいるが、我が国はそれに対抗する必要がある。またアジア太平洋地域においても中国が主導的な行動を取っているが、我が国はより高度な技術とサービスで優位に立つことが出来るにもかかわらず戦略性に欠けるため、アジアにおける存在感が薄い」と指摘されていた。
様々な手段で「主導権」を奪う
いわゆる「主導権」を奪うために、日本はODAを増やし、気候変動への対応や通信・放送サービスの拡大など、宇宙開発利用で発展途上国との協力を強めるている。
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