ホーム>>中日両国>>視点
斎藤文男氏:中国人学生が見た日本人像
発信時間: 2008-12-10 | チャイナネット

◇こんなものまでなぜ空輸?◇

日本から空輸されてきた大きな箱に、パンフレットやポスターなどとともに、テープ、ハサミ、ナイフ、白紙、鉛筆などが入っていた。パンフレットなどを空輸することは分かるが、このような文具類なら南京でも購入することが出来るのに、「なぜ高い郵送料を払って、わざわざ日本から運んできたのか。なかなか理解できない」と、疑問をぶつけていた。

日本人スタッフから説明を聞く中国人学生

会場を設営する日本側の担当者は、必要とする文具類が、南京ですぐに手に入るかどうか分からなかったのだろう。あったとしても、それを購入するための時間や、同行してもらう通訳を依頼しなければならない。それより必要なものは直接郵送したほうが早くて確実だと判断したのだろう、と私は推測して学生に説明した。30年間、友好都市として交流しても、どこでどんなものが売られているかなど、日常生活のこまごまとした情報はなかなか伝わらないのだろうと思い、理解促進の難しさを改めて感じた。

◇時間を守るのもいいけれど‥‥◇

日本人の時間に対する感覚にも驚いたようだ。20人の学生を10人ずつに分け、2班に分かれて昼休みをとることになった。前半のグループは午前11時半から休みになった。後半は午後0時半からだったが、正午には仕事が終わり、30分間何もすることがなくブラブラしていた。「仕事がないのなら、時間を守ることもいいけれど、状況に応じて調整したらいいのではないか」という訳である。

これは、後半のグループが正午から休んでしまうと、前半のグループが午後0時半に戻るまでだれもいなくなってしまうのを、日本の担当者が心配したのかもしれない。また、後半グループが早めに休むと、後半グループは70分間の休憩となり不公平になるおそれもある、と私は学生に説明した。日本人は道路の交差点で赤信号の場合、左右から車が来なくとも、歩行者は信号が青にかわるのをじっと待っている。決まったルールをきちんと守ろうとする日本人の律儀さを、若い中国人の学生は不思議に思ったのかもしれない。

「午後5時になっても、まだ残っている仕事はあったが、『もう時間です。帰ってください』と言われた。しかし、日本人の人たちは自分たちだけで、残った仕事をやっていた」と指摘して、時間を守る日本人と仕事に対する真面目な態度に改めて感心する学生もいた。

◇82歳の“姑娘”の涙で理解◇

「名古屋デー」の翌日は、日本人と中国人の交流会の通訳だった。「私は中国語でいう“姑娘”よ」という82歳の日本人女性から、ある男子学生が話を聞いた。18歳の時、恋人がパイロットとしてフィリピンで戦死したという。その恋人が忘れられず、これまで独身できた。恋人の母と一緒に毎年、神社にお参りしてきたが、その母も昨年亡くなり、「今年からは私一人だけになりました」と言いながらハンカチで目頭を押さえていた。男子学生は、この女性の悲しそうな表情を見て、「『日本軍国主義は中国人民及び日本国民に深い傷をつけた』という言葉の意味を初めて理解した」と書いていた。

     1   2   3    


  関連記事
  同コラムの最新記事

· アンケート結果:中日関係で一番深刻な問題は?

· 中日青少年交流、次の世代に継承される友好のバトン

· 台湾ヒット映画『海角七号』の「媚日」に関する激論

· 日本人と中国人の習慣の違い⑳日本人は手帳好き?

· 日本、中国の台頭で米国に捨てられることを憂慮