このブログにいただく読者の皆さんからのコメントはすべて拝読しておりますが、面会と手帳について、次のコメントをいただきました。
「面会についてですが、日本人が一ヶ月半も前から食事の約束が来て、『そんな一ヶ月半も後のことなんか知らないよ』と思いつつ、応じた覚えがあります。さらに、一ヶ月後のことを覚えることにも苦労しました。だから、日本人はどんな小さなことでも、まず手帳を確認します。そのような手帳文化は安心さとともに、随時の気持に従う楽しみを失ってしまいます。どちらがよいかなどの問題ではなく、異なる文化だなあとつくづく思いました。」(ピンピンさんから、11月11日)
大変興味深いコメントをいただき、ありがとうございました。「随時の気持に従う楽しみ」という表現は味わい深いですね。でも、多くの日本人にとっては、なかなか分かりにくいかもしれません。
このコメントを拝読して、北京で働いている時にはあまり注意していなかったのですが、日本人と中国人とでは手帳などを利用しての日程の管理の仕方が違うのかもしれないな、と思い始めました。
文房具店で手帳を買ったところ
毎年、年末になると、日本の文房具屋、本屋では手帳をたくさん売っています。私も、日程管理のために、毎年必ず小さな手帳を買い、いつも持ち歩いています。最近、2009年用の手帳を買い求めました(写真)。私の家族は、大学生、中学生の子供もふくめ、全員手帳を持って、日程管理をしています。子供たちにも、クラブ活動(子供の一人はテニス部、もう一人は剣道部で活動)や、友達との会合、塾通い、その他、いろいろな予定があるので、家族で集まって一緒に夕食を食べるためにも、日程調整が結構大変です。
私は、今年も、ある日本の会社が作っている手帳を買いました。この会社は、手帳販売で大変有名な会社で、150種類もの手帳を製作しており、一年に1200万部もの手帳を販売しているそうです。150種類もの手帳を製作しているということは、サイズ、体裁、レイアウトなどで、それだけ多種多様な手帳を、日本人が求めているということです。日本には勿論、手帳を作っている会社は沢山ありますが、この会社一社だけで、日本人の全人口(1億2768万人)の1割近くにも相当する部数の手帳を販売しているということです。またこれ以外に、日本の企業は、手帳を作って社員に配ったりしています。日中友好協会も「友好手帳」という手帳を作って販売しています。これには日中間で友好・ビジネス活動をする人にとって便利な地図、連絡先などの情報も掲載されています。手帳をどう使いこなしたらよいかという本、雑誌記事もたくさん出ています。いかに日本で手帳がたくさん利用されているか、ご推察いただけるかと思います。
私は日程管理のために、もう一冊大きなダイアリーを持っており、これは職場に置いておき、秘書が利用しています。またパソコンの日程管理ソフトも利用しており、私と秘書の二人のパソコンで見たり、管理できるようになっています。
日本ではビジネスをする人は、日程管理をしっかりやることが重要であり、仕事の基本になっています。そしてそれは、学生時代からいろいろな訓練を通じて身につけるようになっています。
中国で各種調査をしている「上海サーチナ(サーチナ総合研究所)」が本年11月に、北京、上海、広州で、20歳から49歳までの合計900人の中国人(男女半々)に、自分の日程管理をどのようにしているかについてアンケート調査したところでは、以下の結果がでました。
またこの調査で「手帳を利用する」と答えた中国人のうち、手帳をいつも持ち歩く人は約51%、持ち歩かない人は約49%だそうです。
日程調整のやり方が日本人と中国人とでは違いがあるのかもしれませんが、まだよく分からないので、読者の皆さんからご意見を更にいただきたいと思います。
(井出敬二 前在中国日本大使館広報文化センター所長)
「チャイナネット」2008年12月3日