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麻生首相の訪中から見た中日関係の未来と課題
発信時間: 2009-05-15 | チャイナネット

(4)長い間、歴史問題と台湾問題は中日関係の2つの障害となっている。ところが、ここ数年の両岸関係の発展が中日関係にもプラスの影響をもたらすことになるだろう。なぜなら、往年の日米軍事同盟の重要な目標はそれぞれが「先鋒」と「後方勤務」の役割を演じて「台湾海峡の有事」に共同で対応することだったからだ。ところが、オバマ政権が両岸関係の発展、両岸会談の深化に肯定と称賛の意を表明したことで、中国のある学者は「これは中米関係における台湾問題の戦略的な敏感さの度合いが実質的に低下し始めることを示すもので、中米が『台湾独立』勢力によって戦争に引きずりこまれる可能性も遠のきつつあることを予告している」と分析している。日本が米国に追随して「台湾海峡有事」に介入することで中日衝突を招くという可能性が徐々に小さくなり、中日関係に負の影響を及ぼす要因としての台湾問題の作用が弱まっていく可能性があると考えられる。

 

(5)米国のサブプライムローンが引き起こした世界的な金融危機と経済衰退は、自由放任的な資本主義への反省および「さまざまな資本主義モデル」についての激論を引き起こした。日本は資本主義の国ではあるが、戦後の日本は「日本的特色」をもつ発展モデルを創造するとともに、少なからぬアジアの発展途上国に影響を与えた。改革開放以来の中国も戦後日本の発展の経験や教訓を参考にすることを非常に重視している。今回の金融危機をきっかけに、人々は、特定の国に適用できるだけでなく、すべての地域に適用できる21世紀に向かう「アジアの持続可能な発展モデル」を模索する必要があるとますます実感している。

 

これと同時に、2007年に中国が日本最大の貿易パートナーとなったことをメルクマールとして、日本経済がアジア経済に融和する度合いやその範囲の広さ、程度の深さも著しく引き上げられてきた。日本が日増しに「脱亜」から「復亜」へと転換していくにつれて、中日両国は共同でアジアを振興させる事業の中で、「主導権を争うライバル」から協力し合うパートナーへと転換する可能性がある。われわれは多くの理由をもって中日関係の今後の発展について楽観しているものの、両国関係の発展に影響を及ぼすさまざまなマイナス要因に関心を持たないわけにはいかず、これらのマイナス要因をどのように克服していくかを両国の共同努力の課題とする必要もある。

 

第一に、歴史問題においてわれわれは以前のような「歴史問題を解決することによってのみ、中日関係を発展させることができる」という「前提論」を改め、「歴史問題を真剣に解決する必要もあれば、中日関係の発展を推進する必要もある」という「同時進行」政策を取った。われわれも日本政府があの侵略戦争について何度も中国に謝ったことに気づいてはいるが、これは中日両国が「歴史的和解」を実現したことを意味するものではない。両国(もちろん、中日両国だけの問題ではない)が歴史的和解を実現していない状況のもとでは、中国人にとっての歴史問題のこうした「敏感さ」や「連動性」を変えるのは難しい。そして、あの戦争を経験したことがない日本人にとっても、なぜ中国人が歴史問題にこれほど敏感になり、ほかの問題と連動するのかが理解しにくく、「中国が『歴史カード』を出す」といった奇怪な論調までもが現われるに至っている。

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