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麻生首相の訪中から見た中日関係の未来と課題 |
発信時間: 2009-05-15 | チャイナネット |
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馮昭奎(中国社会科学院日本研究所研究員)
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中日両国は「戦略的互恵関係」を構築することで共通認識に達し、二国間関係の発展も楽観的ではあるものの、今後の中日関係に影響を及ぼす可能性がある一部の問題を両国は依然として正視する必要がある。 麻生首相は訪中期間中、「日中両国ともそれぞれの国益を踏まえた外交を展開している。また、両国にはそれぞれの歴史、文化、伝統があるため、時には摩擦が生じることもある」とし、「将来にわたって日中で“共益”を実現していくことこそが、両国の発展、繁栄を後押しし、アジアや世界の平和と繁栄につながる」との考えを示した。中日関係の将来について、人々は比較的楽観的でも構わないと言うべきである。楽観的な見通しとして次のことが挙げられる。
(1)ここ数年、日本国内では「国益」をめぐる熱い議論が繰り広げられており、「国益を外交の根本とする」思想がますます人々の心に深く沁みこんできた。「日本は他国との貿易によって生存するほかない。もし生存し続けたいならば、その他の大多数の国よりもっと平和で、なおかつ貿易にオープンな世界が必要だ」という米国の有名な歴史学者・外交官のライシャワー氏の忠告もますます多くの人々に認識されてきている。この傾向は対中関係に現われている。つまり「理性的穏健派」がますます優勢になってきているのだ。中日関係については、今は「和すれば双方に有利、敵対すれば双方とも傷つく」状況と言えるだろう。両国関係を発展させることが中日両国それぞれの国益に合致するものだという認識は、両国民の大多数の人々の間で共通認識となり常識となっている。
(2)現在、世界が直面している3つの危機──金融危機、環境危機、疫病危機は世界各国、とりわけ世界の主要国に、人類内部の抗争や摩擦を減らし、協調を強化し、互いに協力し合い、力を集中させて人類共通の危機に対処することを「強制」している。「一衣帯水」の隣邦であり、環境問題で共通の利益をもつ中日両国は上述の危機に直面して、「協調が必要かどうか」はすでに問題ではなく、「どのように協調を強化するのか」ということが問題になっているのだ。周恩来元総理が提起した「小異を残して大同につく」という主張の中で、「大同につく」ことが両国関係にとってますます重くなってきている。
(3)ブッシュ政権からオバマ政権に至るまで、中米関係は好ましい発展傾向を見せている。最近、日本では「中米関係の改善は日本に有利かどうか」についてちょっとした議論が起こっているものの、「中米対立を前提とした対中政策」といった類の主張はますます支持を失い、「日中米3国間関係のバランス」を求める政策や「日中米の戦略対話を推進すべき」といった政策の主張が日に日に台頭してきている。今後の長い時期において、日米の同盟関係に大きな変化が生じることはないと見られる一方、中米関係の改善は中日関係のさらなる改善を促進する可能性があると思われる。 |
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