馮昭奎 (中国社会科学院日本研究所研究員)
麻生首相は訪中への出発前に中国の記者の取材に応じた際、「昨年の胡主席訪日から1年の間に、日中間では政治や経済を含む全ての分野や各レベルでの交流が適切に展開されている。すでに春を迎え、今後も引き続き発展していく日中関係にとって、もはやそれを季節で例える必要はないだろうと私は思っている」と語った。
2008年の中日両国指導者の相互訪問は記録更新の5回に及び、今年4月、両国の指導者が1カ月の内に行った会談は3回に及んでさらに「新記録」を更新した。これまでの約半年間で、麻生首相と胡錦濤主席、温家宝総理との首脳会談は4回にも及んでいた。今回の訪中は去年、胡錦涛主席が訪日した際に、福田首相と「両国首脳の定期相互訪問メカニズムの構築」を確認し、原則として1年おきに互いに訪問し、国際会議の場でも会談を頻繁に行うことを確認し合った後の日本首相の中国に対する初めての公式訪問であった。これは両国首脳の定期相互訪問メカニズムが本格的にスタートしたことを意味している。中日両国がハイレベルの緊密な意思疎通を保ち、両国関係および共に関心をもつ問題について頻繁に意見を交換するのは、相互の理解と信頼を深めるうえでプラスとなり、人々も「戦略的互恵関係」を構築するために着実に仕事に取り組んでいる両国指導者の忙しそうな姿を目にした。
今回の麻生首相訪中の最も大きな特徴は、中日の戦略的互恵関係に多くの協力面での提案と課題が増し加えられたことだ。この特徴は麻生首相が率いてきた「随行団」の強大な陣容にも反映されている。麻生首相は訪中期間中、「戦略的互恵関係の立場から、これまでも、昨年の5月、胡錦涛国家主席が訪日された時に、70の項目にわたって協力の合意をしている。そのうち大体8割ぐらいまでできあがりつつあると思っている。また、環境、省エネ分野の官民合わせて505件の協力実施など、広範な分野で、多くの協力を実施してきている」と語った。 麻生首相の今回の訪中によって、双方は多くの協力分野において共通認識に達し、戦略的互恵関係の内容をいっそう拡充させた。
今回の中日両国指導者の会談と会見による最も際立った成果は、次の3つの分野に現れている(1)経済協力の分野(2)環境保護、省エネ、気候変動の分野(3)人的交流、特に青少年交流の分野。
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