経済協力の分野においては、両国は手を携えて協力し、金融危機にともに対応することで一致した。中日両国がそれぞれ世界外貨準備高の1、2位にある国として、手を携えて世界金融危機にともに対応することは、危機を克服し、困難な局面をともに乗り越えるうえで大きな意義がある。まさに麻生首相が指摘しているように 「金融危機の克服というものに日中が手を携えてやっていく意思というものを明確に確認しあったというところが一番大きな成果」だった。
危機を根本的に克服するため、双方は保護貿易主義の抑制、国際金融監督の強化、国際金融システム改革の推進などにかかわる世界的な問題について意見を交わした。
双方はまた相手国が大規模の経済振興計画を実施し、内需拡大を中心とする景気対策を講じることを高く評価した。というのは、中日両国は世界第2、第3の経済大国であり、世界で上位にある貿易大国でもあるからだ。今年と来年の2年間は日本経済にマイナス成長が見られる見通しで、中国の今年第1四半期の伸び率も明らかに鈍化している。こうした状況を背景に、両国がそれぞれ「自分の事をきちんとやる」ということ自体が世界経済の後退に対応する貢献である。
経済協力の面において、双方は中日経済協力に係るハイレベル経済対話の再開に同意した。中国大陸は2007年に日本最大の貿易パートナーとなり、2008年の最後の数カ月間に世界金融危機の影響を受けたにもかかわらず、二国間の年間貿易総額は依然として前年同期比13%増の2668億ドルに達した。今回、中日指導者は会談の中で、次世代携帯電話の技術を協力して開発し、関連情報通信に係る法律・法規をいちだんと充実させることで一致した。これは情報通信分野が中日経済協力の新しい成長軸となる望みがあることを意味している。そのほか、双方は東京羽田空港と北京首都空港の間の定期チャーター便を開通することで一致した。
アジア最大の2つの経済体として、中日両国は互いに重要な市場であるばかりでなく、地域経済の安定した重要な力でもある。今回の会談で、中日双方は東アジア地域の協力を促し、世界金融危機にともに対応するなど世界的な挑戦を協力の重点に置き、「10+3」(ASEAN+日中韓)、東アジアサミットおよび中日韓など地域メカニズムにおける協調と協力をいっそう強化し、中日韓とASEAN諸国との実務協力を拡大し、アジア地域の平和、安定、発展をともに促進していくことで一致した。
特に指摘に値するのは、2000年から始まった地域金融経済を安定化させる「チェンマイ・イニシアチブ」が二国間通貨スワップ協定から多角的な通貨スワップへと進んでいることだ。今年2月に開かれた「10+3」特別財務相会議において、設立準備を進めている地域的外貨準備基金の規模をもとの800億ドルから1200億ドルに増額することで合意した。中、日、韓三国の財務相会議が5月3日、インドネシア・バリ島で開催され、3カ国の財務相は設立準備を進めている共同管理の地域的外貨準備基金への出資比率について合意に達した。合意に基づき、中国は基金の32%に相当する384億ドル、日本は同32%の384億ドル、韓国は同16%の192億ドルをそれぞれ出資することになった。金融危機が生じた場合、流動性の困難に陥った加盟国メンバーは基金から資金を借り入れることができるという。
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