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バイオリニスト・西崎崇子:バタフライラバーズに惹かれて30年
発信時間: 2009-05-29 | チャイナネット

――この曲を演奏する前に、様々な準備をしたようですね。

 これは中国の曲なので、何とかもう少し中国の表現をちりばめて演奏したいなと研究をし、京劇や地方劇などを見たり、二胡の練習をするようになりました。

 ――ほかの奏者と持ち味の違った曲にしようと思ったのですね。

 そうですね。年月が経つうちに、ほかの方のレコーディングも出てきたので、それを聞いたり、彼らの演奏会に行くようになりました。中には、スピードや強弱の理解が私と異なった方もいます。しかし、音楽はその人の心で思ったことを表現することなので、曲は人によって違いがあって良いと思います。

 

資料写真

――二胡の勉強はいかがでしたか。

 もう楽譜からすべて西洋式と違いますので、まずはスコアを西洋式に書き直して練習しました。あれには困りました(笑)。

 二胡は小さな曲しか弾けませんが、その中でどのように中国風の味を出すか、私なりに考えました。たとえば、二胡の勉強で習ったスライドをバイオリンに応用してみました。押さえている場所は同じですが、指先をちょっと動かすだけで、中国的な音色が出ます。スライドは、もともとの楽譜にそんなにたくさん記されていませんが、私は意図的にたくさん使うようにしてみました。

――中国のお芝居との出会いは?

 京劇は子どもの時に日本で見ていました。1956年、梅蘭芳が訪日した時、父の弟子がウェルカムコンサートを主催し、私はそのコンサートでバイオリンを弾きました。当時撮った写真はいまも大事にとってあります。

 梅蘭芳の本当の姿を知っていますが、ステージに上がると、彼がまるで違う人間になり、体の動きといい、指の動きといい、中国の女性よりも女性らしいです。あまりにも違っていたので、「これは違う、梅蘭芳じゃない」と父に言いましたら、父は「そう思うでしょう。これが芸術だ」と言いました。それでもどうしても信じない私を父はステージの袖につれていってくれました。梅蘭芳が舞台から下がってきた時、私の頭をポンポンと叩いてくれました。これが、私の中国伝統文化との初対面です。

 私は中国と縁が深い人間だと、つくづく思っています。

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