【記者のメモ】
ほっそりした体。力強そうな指。弾力に富んだ響きの良い声。暖かさのにじみでる笑顔。中国風ドレスが良く似合う面長で色白の顔。溢れんばかりのエネルギー。
これが西崎さんから受けた第一イメージでした。
当日は、出発地・香港の悪天候の影響で、予定より1時間遅れての北京入りとなりました。夕食の時刻はとっくに過ぎているにもかかわらず、ホテルに到着するやいなや、水一滴も飲まないまま、メディア各社の延々と続くインタビューに根気良く対応していました。
若さと活力の秘訣は「自分がとても幸せだから」と言い、「健康な体を与えてくれて、ここまで育ててくれた両親」と「いつもサポートしてくれている夫」への感謝の気持ちを繰り返し語っていました。
結婚後、海外生活を続けている西崎さんは、いまや香港とニュージーランドに家を構えています。「バタフライラバーズ」を弾くうち、蝶々が大好きになったとエピソードを聞かせてくれました。
「ニュージーランドには透明な繭を作る蝶々がいて、その蝶々に好かれる木を家の庭にたくさん植えました。もうシーズンになると、庭の中は蝶々でいっぱいです。」
30年以上にわたる香港での暮らしも楽しんでいるそうです。「自由市場へ行くのが楽しい。市場の方たちは良くCDを買ってきては、サインを頼みます。私は人懐っこいから皆に好かれているようです」。
こう言いながら、朗らかな笑い声が聞こえました。その笑いは、輝く瞳の奥まで光っているようでした。(王小燕)
【プロフィール】
西崎崇子(にしざき・たかこ)さん
1944年 名古屋生まれ
1948年 父西崎信二の手ほどきでバイオリンを始める
1953年 スズキ・メソードの第一期生となる
1956年 梅蘭芳の訪日公演の歓迎演奏会で演奏、京劇を初めて見る
1961年 桐朋学園高校を卒業し、ジュリアード音楽院に進学し、
ジョゼフ・フィクスに師事
1974年 ヴィオラの今井信子とモーツァルトの協奏交響曲を演奏して
ジュリアード・コンチェルト・コンクールで第1位を獲得
1975年 ドイツ人実業家クラウス・ハイマンと結婚し、香港での生活を始める
1978年 名古屋で「バタフライラバーズ」を初めてレコーディング
1987年 夫とともに香港でクラシック音楽系レコードレーベル「ナクソス」を創設
1996年~ フリッツ・クライスラー国際コンクールの審査員
2001年 オーストリア政府からオーストリア共和国功績勲章金章を授与
「中国国際放送局 日本語部」より2009年5月29日
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