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戦略的選択に直面する北東アジア地域 朝鮮核問題
発信時間: 2009-06-10 | チャイナネット

朝鮮にとっては、安全問題を政治的に解決するには、米国との関係の改善、敵対状態の解除を必要とするほか、朝鮮半島における南北間の和解達成も必要としている。6カ国協議のプロセスを注意深く見れば、朝鮮が核放棄協定を受け入れたのは、盧武鉉前大統領が半島で演じた「均衡者」としての役割および朝鮮に対する和解政策と大きな関係がある。ところが、李明博大統領が行った盧武鉉政策への調整は、朝鮮が肩を並べて進む道を阻んだだけでなく、南北間の政治上の相互不信を増大させ、半島非核化問題の最終的な解決のための半島平和メカニズムの交渉に支障を来たし、これによって朝鮮の核放棄における政治的リスクを増加させた。朝鮮は、初めのうちは米国が局面を変えられると期待を寄せたが、オバマ政権は対話による解決を主張してはいるものの、経済危機や中東問題に悩まされて朝鮮のことを考える暇がないのが実情だ。これらの要因は朝鮮が自国の戦略を調整し、政治的解決から自国の軍事力の発展による解決へと転換することを促した。

 

米日韓の協力がバランスを失い、地域情勢が錯綜

 

朝鮮問題の裏で、北東アジア地域は複雑で錯綜した状態になっている。今回の朝鮮核危機は最初の段階においては、主な矛盾は朝鮮と米国間の矛盾として現われており、朝米の問題が解決されれば、その他の問題はたやすく解決できるかに見えた。しかし、米国は多国間による解決を堅持し、日韓を交渉のテーブルにつかせようとした。その目的は、朝鮮問題と密接な利益関係を持つ2つの同盟国の要求に配慮し、同盟関係を強化し、朝鮮への圧力を増大させることだ。

 

ところが、米日軍事同盟と米韓軍事同盟を繋ぐ絆はますます弱まってきているように見える。冷戦後、米国の一国支配の局面が現われたもとで、米国の覇権の野心もますます膨らんできた。米国はライバルがまったくない状況の下、依然として自国の軍事力と軍事同盟システムをたゆまず強化し、いわゆる「絶対安全」の世界を構築していく。そのため、米国は米日軍事同盟、米韓軍事同盟を防御的同盟からグローバルな戦略的同盟に変えようとしている。この政策による影響は2つある。1つには日本の右翼勢力を元気づけたことで、2つには韓国社会の分裂を激化させたことだ。日本の右翼勢力と韓国の保守勢力に共通する特徴は、朝鮮に対する強硬策だ。この強硬策は、米国の対朝鮮強硬策の延長上にあるだけでなく、豊富な自我意思も含むものである。このため、米国が朝鮮への政策調整を行ったとき、日韓はコントロールがきかない状態に陥った。

 

この面で、日本の行動は特に目立ったものだ。安全の角度から言えば、朝鮮の核問題は日本の将来の安全に比較的大きな脅威をもたらしている。常識から言えば、日本はもっと朝鮮核問題の解決に関心を持つべきだ。しかし、6カ国協議のプロセスでは、日本は歴史が残した「拉致問題」を重要な地位に置き、これを根拠に朝鮮をテロ支援国家指定から解除する米国の決定に反対した。このような本末転倒の行為が6カ国協議に与えた消極的な影響は明らかなものだ。これと同時に、朝鮮の不適当な行動に対して、日本は積極的に矛盾を解決することではなく、過激な反応を見せることに熱中した。日本は口先では常に朝鮮の脅威を叫んでいるものの、行動では何も心配などしていないように見える。米国が交渉を進めるために取った柔軟な策略に対して、日本は往々にして強硬な態度で制約を加えた。日本のこうしたやり方が、地域の安全構築で日本にはほかに目的があるのではないかと人を疑わせることは免れがたい。

 

李明博大統領は、2国間関係と6カ国協議を同時に進めるという盧武鉉氏の政策を、朝鮮の核放棄を前提とする2国間関係を発展させるという政策に調整した。表面的に見れば、朝鮮の核放棄を促すためではあるものの、実際には将来における朝鮮半島の主導権を求めるものだ。これは客観的には朝鮮の核放棄に必要な政治上の相互信頼を奪い、そこから反対の結果を得ることで、少なくとも朝鮮の政策転換に絶好の口実をつくったものだ。

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