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訪日団員、「日本の農業は中国にとって教訓」
発信時間: 2009-09-24 | チャイナネット

 

日本の農業を見学し、感嘆の声をあげる中国青年代表団の団員は多かったが、湖北省から参加した師智敏さんは異なる考えを持っていた。師智敏さんは1998年に華中農業大学の果樹専攻を卒業し、2002年初めに故郷の咸寧市に戻り起業し、有機果物の栽培を始めたが、今は湖北省天人生態農業有限会社の社長を務めている。

 

一、 「政府の補助金が多い」

師智敏さんにとって印象深かったことは、政府による高額の補助金である。浜農場で、そばや大豆の植え機、収穫機などの農業機械の価格と政府補助金の割合について尋ねた。

「農業機械の三分の二、または全額が国の支援によるものだった。農業の高額の補助金は政府の大きな負担になるのではないか。中国も今、日本に倣って高額の補助金を支給しているが、このような方法は長くは続かない。日本は中国と事情が違うからである。日本は工業が高度に発達していて、農業を支える力が大きいからこそ、農業に高額の補助金を支給することができる。だが、中国は『農業大国』で、このような工業の基礎はできていない。中国は日本ではなく、欧米の政策を学ぶべきだ」と、見学後に意見を述べた。

二、 日本の兼業農家と米国の専業農家

日本の農家のほとんどが兼業で、普段はほかの仕事をしている。長野県松本市の坪田明男副市長も野菜を自ら栽培しているという。

それについて、「兼業農家が多いため土地の分布がばらばらで、規模も小さい。7ヘクタールの農場も見学する価値があるとは思わなかった。また、土地の規模が小さいため、農業機械の使用効率が低く、毎年それだけの土地にしか使われていないのはもったいない」と指摘した後、米国を例に挙げた。

「米国はすべて専業農家で、4%の農民が全国民の5分の1を養うことができる。大豆と小麦は輸出までしている。中国が米国から輸入した大豆は中国産よりも安い」と話す。

三、 「保護すれば競争力を失う」

「日本各地で見学したとき、地元の人は皆、これは地元産のものだと強調した。もっと流通を重んじるべきだと思った。各地は地元資源の優位を発揮すべきで、地方保護主義を取るべきではない。保護すれば競争力は失われる。開放すればするほど、競争力は高まる。中国農業の発展はまだスタートしたばかりで、まるで白紙のようなもの。開放に向け発展させるべきだ」との考えを述べた。

四、 「農産物は外観を追求すべきでない」

ぶどう栽培の映像を見ると、形を整えるために、何度も不要な実を摘み取る作業が行われていることが分かる。「果たしてそうする必要はあるのだろうか。米国の場合、りんごの栽培で不要な実を摘み取る作業はないし、大きさも追求しないため、生産量が多く、土地の利用率も高い。中国も今、日本と同じように外観の美しさを求めるようになっている。日本の巨峰ぶどうは確かに栽培水準は高いが、コストも高い。また、スイカに関して言えば、中国では500グラム0.6元で売られているが、日本では9元もする。日本の農業は精細化の方向に発展せざるを得ない事情があるのかもしれないが、消費者にとっては安いほうがいい」と、師さんは話す。

 

最後に「それでは、今回の訪日では何も勉強にならなかったようですね」と聞いてみると、「いいえ、教訓を得ることも大事なことですから」と、大学を卒業し、農民の素朴さと真面目さを兼ね備えた師さんは答えた。

「チャイナネット」  2009年9月24日

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