中日歴史共同研究は3年間の努力を経て、ついに第1期研究報告を発表した。関係者は現時点の結果はやはり有意義なものとの認識だ。(文:歩平・中国社会科学院近代史研究所所長)
冷戦終結後の国際政治構造の新たな変化や、過去20年近くの東アジア地域における中日両国の地位の変動にともない、歴史問題が大きく浮上してきた。歴史問題は政治判断、国民感情、学術研究の3つの面に現れる。学術面から行われる中日歴史共同研究は、両国の政治・外交関係の発展や国民感情の交流にプラスの作用を及ぼすことが期待される。中日政府が「歴史を正視し、未来に向かう」精神で、両国の学者に歴史問題を討論させた今回の取り組みによって、両国間に歴史問題の対話枠組みが築かれた。これはまた、侵略戦争に反対し、平和を守り、国境を越えた歴史認識を構築するために東アジア各国の学者や民衆が払ってきた長年の努力の反映でもある。
これまでの学術研究と異なるのは、双方が共同で研究テーマを定め、重要な問題では十分な討論を行い、相手方の意見も一部取り入れた上で修正を重ね、各自の論文を書き上げた点だ。簡単にいえば「同一のテーマで、意見を交換し、十分な討論を行い、各自が発表する」ということだ。「各自が発表する」とはいえ、両国の学者が不一致点を回避せず、同一のテーマの下で重要問題について研究し、討論することができたのだから、すでに大きな前進の一歩を踏み出したといえる。
近代史分科会の双方の学者は中日戦争の性格について十分な討論を行い、各自の論文においていずれも、1931年に始まり1945年まで行われた中日間の戦争が日本による中国への侵略戦争であることを明確に指摘し、侵略戦争が中国人民に与えた甚大な傷と損失を詳述し、侵略戦争への強い非難と平和維持の願いを表明した。中国側委員会は、侵略戦争の性格の認定は中日間の本質的な是非に関わる根本的問題であり、この点においてまず共通認識を形成しなければ、学術研究は始められないと考えていた。この点を、われわれはやり遂げた。
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