監督に笑ってはいけないと言われた
『おしん』
撮影中は言葉が通じないために他の中国人役者との交流が難しかった。特に、いっしょに演技することが多かった宦官役の余少群さんとは。しかし田中さんはこれを大きな問題とは思っていなかったようだ。「最初は私も、言葉が通じないためにコミュニケーションを取るのがとても不便だと思いました。毎回事前に何度もセリフを合わせなければなりませんでした。でも、撮影が進むにしたがって、皆さんと心が通じ合ったと思える瞬間がありました。余少群さんは、男性的な魅力を非常に持った役者さんです。彼と共演しているときはいつも心と心が通じ合っていました」と振り返る。余少群さんも同じように感じていたようで、「言葉が通じなかったおかげで、田中さんの演技の細かな表情やしぐさ、まなざしを思う存分感じることができました」と語る。
余少群さんが田中さんに対していちばん強く感じた印象は、控えめながらも親しみやすく、細部にとてもよく気を配ることだという。「毎回メイクを終えて、衣装に着替えた後、田中さんは首の周りに白いタオルを巻き、えりが汚れないようにするのです」と話した。
田中さんは撮影中もっとも大変だったことについて、「笑ってはいけないことです。監督に、私が笑うと『おしん』を思い起こさせるから、できるだけ笑わないようにと言われました。そこで私は、西太后として笑うこともできますよ、威厳を感じさせる笑いをすることができますよと言いました。監督ははじめは信じませんでしたが、私の演技を見て、考え方が変わったようです」と話した。
「チャイナネット」 2010年3月12日