日本産業館に出展している民間企業は、商品を直接展示しているものはなく、生活や未来への関心を通して、企業理念を展示している。館内には、「生命の星」、「3Dシアター――医療の進化」、「人類と地球のたからもの」、「誕生の軌跡」、「心の架け橋」、「夢のあるくらし――金門玉堂」、「青花流水」、「おいしい記憶を作りたい」の8つのメイン展示があり、それぞれ異なった視覚体験や聴覚体験ができる。
メイン展示――「生命の星」(繆暁陽 撮影)
「生命の星」というメイン展示は自然結晶の成長によって誕生した大きな球体である。それは、まばゆい光の中の個体の生命のようであり、また圧倒的な存在感を放って息づいている地球の姿のようでもある。力強い生命力が来館者を包み込み、小さな息づかいと囁きのような音が、これから始まる命の営みを予感させる。
「3Dシアター――医療の進化」というメイン展示では、人の進化、医療技術の進化を、3Dで分かりやすく伝えている。使用された映像技術は、日本が開発した最新の高精細3D映像技術で、全編をコンピューターグラフィックスで制作、これまで体験したことのない迫力ある映像である。また、先進技術の解説展示コーナーも用意し、短時間で見切れないほどの先進医療が満載の3Dシアターとなっている。
「人類と地球のたからもの」というメイン展示では、はるか昔に中国で生まれ、日本をはじめ世界中に伝わった「たからもの」――大豆を紹介している。
「誕生の軌跡」というメイン展示区には一枚の大きな漉きの創作和紙――「太陽」があり、光と影を併せ持つおおらかな空気感を放ち、ダイナミックに人々を包み込んでいる。映像では、青く美しい星、地球に生まれた奇跡、人間、動物、自然界にあるものすべてがつながっている命の軌跡の物語を映し出している。
「心の架け橋」というメイン展示は日本郵政グループのブースであり、そこでは、アニメーション映像、光演出、造形、情報を組合せた体感型のシアターを展開している。
「夢のあるくらし――金門玉堂」というメイン展示スペースには美しく輝く金の門がある。それはこの世界と夢の世界の二つの空間を結ぶ不思議な扉だ。金門の向こうには、まばゆい光で満たされた空間が広がり、窓からは心地よい風が吹き込んでくる。
「たこ家道頓堀くくる」は、「たこ焼マイスター」の称号を持つ匠がお客様の目の前でたこ焼きを焼き上げ、たこ焼を通して「日本の食文化」と「大阪」を世界のお客様へアピールしている。また、大阪道頓堀の名物看板「くくるの大たこ看板」が万博に“出張”しており、日本産業館の壁に張られている。
「未来郵便局体験館」は世界有数のリアルネットワーク「郵便局」を題材に、次の時代のストーリーを展開している。未来の郵便局は、世界中をリアルに繋ぐ場、地域の格差をなくし医療・行政・教育・生活をサポートする場として存在している。その時代には、人のやさしさとテクノロジーが融合した郵便局ならではの温かいサービスが提供されている。
「日本産業館は大きなパビリオンだが、その安全性を考えると、パビリオンの中に入れる人数というのは制限がある。パビリオンの中に入るのをあきらめようというお客様がたくさんいるので、私たちはパビリオンの中に入らなくても、外から直接お入りいただけるようなお店をいくつか作った。だから、パビリオンの中の展示をご覧にいただかなくても、外のお店だとか、レストランにお立ち寄りいただければ、いろいろな商品、食べ物で、ああ、これは『J-感覚』だというのをみなさんに感じていただけるような作りになっている」と秋岡栄子館長は語った。
「北京週報日本語版」2010年6月24日