王衝
このごろ、中国の日本についての研究がまだまだ足りないと、いろいろな方面で取りざたされる。これは、中国と日本が同じ東方の儒学文化圏にあり、文化の違う部分も同じ部分も一緒くたにされがちで、なかなか詳しくは追求されることもないからではないだろうか。蚊帳の外にいる人間のほうが、逆に良く見えているものである。そうでなければ、アメリカの学者ルース・ベネディクトの大作『菊と刀』が長きに渡って、文学界のバイブルとして不動の地位を得ることもなかったであろう。
グレゴリー・クラーク氏もまた、日本を蚊帳の外から見ていた人である。この71歳のオーストラリアの学者は現在、日本国際教養大学の副学長を務めている。一人の西洋人としてクラーク氏は独自の見解を持っている。日本は島国で、集落文化を中心に発展してきたため、彼らの価値観は本能的であり、更に言えば、感情的で現実的である。一方、中国は大陸文化で、長い間、周りとの衝突や接触を繰り返してきているため、価値観はもっと理性的だ。これに基づいて、彼は日本人の特徴を14つの項目にまとめた。クラーク氏の許可の元、筆者はこの特徴を以下に簡潔に述べる。
その一、過度な群れ意識を持ち、命令に従う習慣がある。これは私たちも良く知っているだろう。日本人の行動は組織立っていて秩序的であり、そのいいところは、皆が従順で統制が取りやすいところであるが、一旦、たちの悪い勢力が覇権を握ると、全国民がそれに従ってしまう。その典型的な例が第二次世界大戦のときの外国への侵略である。
2.個人間の関係は驚くほど誠実なものである。これについては、私自身、印象深い体験したことがある。大阪付近の小さな村の駅に無人の野菜売り場が在る。袋に入った新鮮な野菜が置かれており、横に置いてある板切れには、100円一袋と書かれている。誰も店番をしている人はいない。貯金箱にお金を入れるかどうかは、全て買う人の良心に委ねられる。そして、日本では物を落としてしまっても慌てる必要はない。なぜなら、ものを拾ったら、一番近くの交番に届けるというのが日本の一般常識であるからだ。
3.日本人は完ぺき主義者であり、極端に秩序と言うものにこだわる。日本人が秩序を守ることは、全世界が知るころである。世界の観光名所で、旗を持ったガイドの後ろで列を作って黙々と付いていく一塊の人がいたら、それは絶対日本人である。彼らの完ぺき主義を表わす典型的な例は、彼らのトイレの清潔さをどこまでも追い求めるところにあるのではないだろうか。日本のホテルの部屋はどれも大きくはないけれど、トイレのきれいさは有無を言わさず完璧である。いい所なると、高級な自動水洗トイレが付いている。この点に関しては詳しい説明は要らないだろう、使ったことのある人だったら、直ぐに分かるはずだ。
4.手作りすることが好きである。
5.チームワーク意識が強く、身内だけでやるような家族企業の管理に長けている。
6.外国のものには、開放的で、広く受け入れるのに対し、外国人に対しては排他的である。
クラーク氏は、3~6の特徴は、日本の工業化が急激に進んだ要因であると考えている。
面白いのは、これらの特徴に対して、中国人は間逆であると言うことだ。中国人は『難得糊涂(知らないふりをしたほうがいいときには、そうしなさい。時には一歩引くことも大事である。)』や、『中庸(その時々に応じて、どちらにも偏りがない考え方をしなさい。)』と言うことを大切にしている。抽象的な信念について論じることが好きで、具体的な行動には移さない。外から来た思想に対しては排他的で、外国人は寛容に受け入れる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年7月26日