前山雄洋さん
中国でも増え続けるだろう「癒し系」の歌
――前山さんの歌は「癒し系」とも呼ばれているのですね。
「癒し系」かどうかは分からないのですが、しっとりした、ほっとできるような歌が好きです。中国でもこれから「癒し系」の歌がどんどん増えていくのではないかと思います。
というのは、日本でバブルがはじけたあとは失業率が高く、経済が冷え込んで先行きが不透明な時期に、「癒し系」と言われる音楽が流行りました。経済がどんどん発展している時は明るい歌、楽しい歌が求められるように思うんですが、それと逆の時には「励まされる音楽」や「癒し系」の歌が聞きたくなるんじゃないかと思います。
中国は今、経済がすごい勢いで成長していますが、ずっと右肩上がりに成長を続けていくことはないと思うので、横ばいになったり下がったりした時に、人の心を癒す音楽が流行るんじゃないかと思います。
中国の音楽と日本の音楽の違い
――中国の音楽と日本の音楽の違いは何だと思いますか。
言葉の違いは音楽にも影響していると思います。例えば日本語の歌詞を中国語に訳する時、メロディーに対して歌詞が足りなくなるんです。どういうことかというと、「おかゆ」は中国語で「粥」という1文字だけで言えますし、「私はあなたを愛してる」という長い文章も中国語なら「我愛你」とたった3文字です。漢字一文字に意味があるため、少ない文字数で文章を構築出来るんですね。これは中国語ならではだと思います。だからどうかはわかりませんが、中国の民族音楽なんかは少ないメロディーの上に漢詩のような歌詞を乗せた曲が多いですね。
日本の歌が中国語にカバーされている曲はたくさんありますが、文字数の問題のせいでしょうか、元の歌詞とは全く違う内容です。例えば周華健(エミール・チョウ)の「花心」(嘉納昌吉の「花」)や、劉若英の「後来」(キロロの「未来へ」)など、いずれも元の内容とは違って恋の歌になっています。これは中国に来てから知ったんですが、面白いですね。
――まだ中国に来たことのない日本人に中国のどんな食べ物を勧めますか。
豪華な料理ではなくて、中国の人がよく行くような「小吃」を勧めたいです。その国を知りたいなら、まずその国の文化を知ることが大切だと思います。観光旅行の豪華な食事もいいですが、庶民の味といえば、例えば「肉餅」や「小龍包」「酸辣粉」「ラーメン」など。僕はいつも朝に「小龍包」と「卵スープ」を食べています。
――今後の目標は何でしょうか。
やはり自分のアルバムを出すことです。とりあえず自分のできることを一つ一つやっていくことが大事だと思うので、いつチャンスが来てもいいように、日頃から準備を怠らないように心がけています。だってチャンスの女神に後ろ髪はないですから。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年8月11日