所属する都市計画建設視察団の学習の一環で、昨年夏に日本を訪れた。滞在中はホテルに宿泊し、民家やデパート、レストランを見学し、様々な会議に出席した。そこで感じたのは、日本の夏がそれほど暑くないことだ。緯度がほとんど変わらない中国の大陸部よりずっと涼しかった。しかも多くの公共施設がエアコンをつけていないのに、室内外の温度差は少なく、快適だった。
一緒に行った上司や同僚も意外に思い、非常に感心していた。日本は海に囲まれた島国で、海洋性気候の特徴があるため夏は涼しいことを知っていたが、耐えられないほど暑いこの季節にこれほど涼しいとは、本当に不思議である。そこで視察団の団員らは、日本の「快適な夏」について同行する日本側のスタッフに尋ねた。
日本の「快適な夏」は、季節風の自然要因のほか、都市計画の功績も無視できない。日本は都市建設と改造の際、「ヒートアイランド現象」をどのように防止するかを人間本位の視点で考え、夏の高温・熱波の襲来を最大限防ぐよう努めてきた。
日本はまず大規模な緑化を行った。これは夏の日照りに対処する重要な手段である。日本の森林率は83%に達しているが、都市の住宅地の計画では、その周囲に多くの木を植える必要があるとされている。密集した木々は夏に日光を遮り、熱による住居の温度上昇を和らげる役目を果たす。冬は葉が散って日光を遮らず、室内の明るさと温度を上げることができる。
最も感心したのは、庭の「緑のコート」や、屋上の「緑の帽子」が急速に普及していることだ。
東京では、多くの一戸建て住宅の庭、特に家の外壁のところにニガウリやきゅうりなどのウリ科の野菜が植えられている。これらの緑色の植物によってできる立体的な緑の空間は「緑のコート」のようで、環境をよくするだけでなく、夏に日光を遮り気温を下げることもできる。
また多くの高層ビルの屋上には広い範囲にわたって芝生や花壇があり、ナスや唐辛子などの野菜も観賞、収穫できる。これら「空中庭園」や「緑の帽子」は熱や音を遮るだけでなく、汚染物質を吸収でき、都市の新しい畑としても使用できる。これらの緑地により、空中庭園のあるビルはないビルより室温が約3度低い。このように巨大な緑の森林の中で日本の人々が快適に過ごせるのは、うらやましく思う。
そのほか、日本の都市計画では、建物の風の通りを立体的・平面的に確保するため、大都市のアパートの周りに建築面積より広いスペースを残すことが規定されている。その上、多くのアパートは表から裏に通り抜けられる構造になっており、空気の流れによりエアコンに似た冷却効果が得られる。また日本は水資源が豊富という優位性を十分に利用し、多くのアパートや住宅の建設地ができるだけ河川や屋外プールに近いところに作られ、水によって発生する水蒸気を利用し熱を吸収している。なかには外壁に噴霧装置を取り付け、温度を下げる建物もある。
このような人間本位、低炭素の視点からの都市計画により、日本人は酷暑でも涼しい夏を過ごすことができる。もちろん、中国の人々がこのような優遇を受けるにはまだ時間がかかり、ともに努力する必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年8月11日