中日の釣魚島衝突事件で、民主党新世代の政治家たちは表舞台に立ち、世界の注目の的となった。今回の事件でパンドラの箱を開けてしまったのは、このような保守的で強硬派の人たちだと言われている。「少壮派」や「戦略派」などとも呼ばれ、前原誠司外務大臣や岡田克也幹事長官などの名が挙げられる。彼らは、領土領海・資源などのハード・パワーや人権問題などを外交に持ち出して、中日関係を揺るがし、一触即発の危険な状態へと導く可能性がある。釣魚島衝突事件に対しての日本側の政策や行動を理解するキーワードは、「少壮派」の考え方や体制の中に隠れされているとも言える。
まずは、彼らの考え方や政策の特徴から見てみよう。「少壮派」の中国に対する戦略傾向と基本的な考え方には以下の共通した特徴がある。
1、現実的な利益から考えて、領土・領海問題、資源問題などの争いでは常に強硬派の立場を取っている。
2、安全政策では、「中国脅威論」を掲げ、中国を警戒し、実際の行動にも現れている。チャンスを見つけては、アメリカを盾に中国を威嚇する。
3、民主外交、人権外交、軍縮、政治体制の改革などのソフトパワーを駆使した外交政策を取り、近年に至ってはそれを戦略の武器として、中国を牽制している。
次に、組織と力関係の影響はどうか。民主党の「少壮派」の地位は著しい勢いで上がり、今や政策決定の中心に居る。自民党の「少壮派」もまた、どんどん表舞台に出てきている。彼らには党を超えて連携し、一致団結しようという強い思いがあるようだ。例えば、釣魚島事件発生後、民主党と自民党の「少壮派」は超党派の議員連盟を発足した。彼らは民間のチャーター機で釣魚島の視察も行なった。超党派は、国家戦略と国益の面でも、伝統的な保守派に取って代わり、政策の調整と突破を推し進めていくという事での共通認識を持っている。また、彼らはメディアとの付き合い方も手馴れたもので、上手く利用することによって、国民を味方に付けた。中国に対する世間のイメージを自分たちの望むものに作り上げ、圧力をかけてくる。
中国は、「少壮派」の政界での勢力を十分理解すべきである。彼らの考えを根本的に変えて、相互理解や戦略的信頼を得るのは非常に困難なことだ。しかし、現実的な利益という面から考えれば、相互の理に適う最低限の共通認識を持てるのではないだろうか。彼らは「戦略的思考」の持ち主である。つまりは利益を第一に考える為、対中関係でも自国の利益を最優先し、もっと利口になる柔軟性を兼ね備えているだろう。「小泉式」のような柔軟性に欠けた融通の利かない態度は取らないはずだ。その証拠に、釣魚島事件発生後、彼らの中には、中国側と対話の場を設け、衝突を避ける方向に持っていく必要があると考えていた人たちも居た。
積極的にリーダーシップを取って相互協力を図り、お互いが得するような方向へと導くために、中国にはまだやるべき事が残っている。中日関係の基礎固めはもちろんの事、更に一歩前進するための行動に出る必要がある。「少壮派」のリーダーや中心人物たちと率先して意見交換をすることで、お互いの利害関係をはっきり示し、最悪の事態が起きないようにしなくてはいけない。
(著:吴懐中/中国社会科学院日本研究所副研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年10月14日