歴史的に日本の氏姓は、天皇から授けられるものであった。そのため、日本の庶民たちは基本的に姓も名も持たず、あっても「あだ名」の類や兄弟間の長幼の順序を指すだけのものであった。
明治維新以降、日本の新政府は改革を決意し「文明開化」の近代国家を建設、「万民平等」を宣言し、日本人の自立的精神を打ち立てた。1869年以降、将軍や大名は「大政奉還」を行い、土地や人口は、名義上全て天皇のものになり、明治政府がそれを管理していた。しかし、政府で課税や征役を行う際、多くのものに名前がないことで管理が難しくなった。そこで、明治政府はよりよい戸籍管理と国民激励のため、1870年、一般庶民も氏姓を持ってよいこと、そしてその姓は自分で決めていいことを決定した。
しかし、これまで長い間姓を持たなかったことや字を知らないことから、この決定に従うものは少なかった。そこで、明治政府は1875年再び政令を出し、「国民は全て氏姓を持たなければならない」とし、従わないものには罰則を与えることを余儀なくされた。ここから、庶民の間で急速に氏姓を名乗ることが広まり、それが定着化した。
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