日本人の物を売る精神と言うのは深く考えさせられるものがある。我々も知るように、日本のサービスはとても良い。特に販売業は別格である。日本の販売員はこっちが例えどんな態度を取ったとしても、笑顔での対応を忘れることはない。決して中国のように、人を外見で判断し、「買いたくなければご勝手に」というような、呆れてものも言えないような態度ではない。例え、10万個の「どうして?なぜ?」があったとしても、日本の店員は丁寧に根気強く一つ一つ説明してくれる。「ただ見るだけで買わない?」もちろん、それでもなんら問題はない。「無条件で返品したい?」愚痴ひとつこぼさずに対応してくれる。正に徹底した「お客様は神様、顧客至上主義」である。
しかし、その「おもてなしの心」の裏に隠されているものについてここで言っておきたい。お客様を神様のように扱うことはある意味、日本の「ずる賢い」ところでもあるのだ。彼らは文句をつけようがない態度なので、こっちは怒りのぶつけどころが完全に無くなってしまうのである。「値切りたい?」(大きい買物をする時は、日本人も値段交渉をする。大阪の人は特に値切りたがる。)もちろん、彼らはあなたの側に立ち一緒になって、上の責任者に値段を掛け合ってくれる。しかし、2時間後、へとへとになったあなたが得たものは店員の困窮した笑顔だけで、値段はと言うと1円たりとも安くはなっていない。私自身、ノートパソコンを購入した際、午後を丸まる空費して、手に入れたものは10枚のDVD-Rだけだった。「購入後に何か問題が発生した?」彼らは、謝罪はしてくれるけど、購入後の補償範囲内に含まれていなければ、どんなに喚こうが騒ごうが、店員は例の困窮した表情を見せるだけだ。できないことはできないのである。
このやり方は、「柔よく剛を制す」と言える。見た目は柔らかくしなやかだけれど、実際の態度は強く、全く動じない。笑顔は欲しいだけどうぞ、どうせ無料である。しかし原則はちっとも揺るがない。日本式のサービスは笑顔であなたと太極拳をしながらも、あなたの感情を決して害することはない。それでいてあなたを押さえ込み、その激しい怒りや果敢な闘志を跡形もなく闇に葬り去ってしまうのだ。彼らは規則に従ってやっているだけで、不合理な点が一つもないのも計算づくである。「正論を述べ態度も申し分ない」これこそ彼らの賢いところであり、盲点はどこにもないのだ。策を講じないことこそ最大の策なのである。その為、神様である顧客たちは、不満を発散すれば、またお金を落としてくれる神様に戻るのだ。(日本新華僑報ネットより 筆者:房遠)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月4日