衰退と成長
父や祖父の世代と異なり、山田君や高木君は敗戦当時の何も無い日本を経験しておらず、60年代、70年代の日本の急成長も経験していない。80年代、90年代生まれの彼らは、日本の高度経済成長の終わりとバブル経済の崩壊には遭遇した。多くのものを手にしてきた戦後の日本人にとって、この20年間は「失われた20年」と言われる。しかし、高木君や山田君自身は、現代の日本の若者の大多数は、この20年の間に“中流の豊かさ”の中で何不自由なく成長した、と感じている。
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今年、中国のGDPは日本を越え世界第2位になった。このニュースは、「アジアのトップ、世界第2位」の地位に慣れた一部の日本人には違和感があるようだが、この2人の留学生は、中国の成長は極当り前のことと捉えている。
「私達は高校で中国の古文を学ぶので、中国に対してはずっと尊敬の念を持っています。このような尊敬に値する国なのに、発展途上国ということで軽視されていました。現在、中国はGDP世界第二位の大国になりましたが、私達は劣等感を感じてはいませんし、それが日本の脅威だとも思いません。中国の国民1人当りのGDPは、まだ日本の十分の一しかありません。けれど、大国中国には当たるべからざる勢いがあり、(日本を越えるのは)当然のことだと思います」と高木君は話す。
高木君と山田君は卒業後、中国関連の仕事に就くことを希望している。しかし、中国の古い文化が好きで中国に留学し、退職しても退職金で学費を支払うという、大勢の古い世代の「中国好き」とは異なり、新しい世代の若者の多くは、中国の将来性に魅力を感じている。中国語は彼らが良い職を得るためのツールで、激しさを増す競争の中での“お守り”なのだ。
統計によれば、高木君や山田君のような在中日本人留学生の数は1.6万人に達し、中国の外国人留学生の中では第2位となっている。毎日、各大学のキャンパスで、彼らの姿を見掛ける。彼らは日本国内の若者達と同様に中華料理が大好きで、衣食住の全てにおいて「Made in China」が欠かせない。だがしかし、彼らは日本国内の若者達と違い、ビールといえば“燕京ビール”や“青島ビール”を好み、中国に関しては見聞だけに留まらず、実際に中国の温度を肌で感じて、自分自身の体験を以って中国の酸いも甘いも合わせて学ぼうとしている。(本人の希望により、文中の高木、山田は仮名とした)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月10日