経済の更なる衰退を避けるため、日本は11月16日、衆議院で5.1万億円(約620億ドル)の新しい経済刺激案を可決した。本決議案はこの後参議院で継続審議となるが、事実上、すでに成立までのカウントダウンが始まった。日本の法律では、衆議院は参議院決議を否決する権利を持っている。そのため、参議院が本決議案を「気に入る」がどうかに関わらず、30日後には、自動的に成立させることができる。つまり、菅内閣による経済刺激計画第二弾はすでにその姿を現したということである。
表面的に見れば、これは菅政府が経済後退に歯止めをかけるために出した緊急措置に過ぎないが、本質的には日本の再起をかけた「新経済成長戦略」の一環と見ることができる。
つい先日、日本では朗報とも言うべき第3四半期決算が発表された。7~9月期の国内総生産(GDP)は、前期比0.9%増、年率換算では3.9%の高い伸びとなり、予想を遥かに上回る結果となった。しかし、残念ながらこの急成長は「自動車減税・たばこ増税」の駆け込み需要の影響を大きく受けただけのことで、経済の正常な成長ではない。日本の経済財政政策担当大臣も、第4四半期のGDPには、これまでの一連の消費刺激策の反動が出るのではないかと憂慮している。
日本経済は今、深刻な円高とデフレに苦しんでいる。バブル崩壊後、日本経済は低迷の深みの中で、もがき苦しみ続けている。世紀を跨いで「失われた20年」があり、そして年末にはこれまで40年以上に渡って勤めてきた「世界第二位」の地位を中国に譲り渡さなければならない可能性さえ出てきている。今年5月、スイス商学院が発表した全世界58の国及び地域の総合競争力ランキングによれば、日本の順位は前年度の第17位から27位にまで転落した。
日本政府は、これまでずっと経済再起の努力を続けてきた。1997年のアジア金融危機以降、「脱亜入欧」に尽力していた日本は、急にアジアの価値に気付き、「アジア回帰」により日本経済を再起することを提起した。今回の経済危機発生後、日本は「アジア発掘」に力を入れ、2009年には「新経済成長戦略」を策定、これまでの「アジア=輸出市場」のアジア観を一変し、積極的にアジアの内需市場の開発を行い、日本の技術や資本を利用して、アジアの人材、資源及び市場を、日本経済を牽引する「エンジン」に改造し、日本経済の再起につなげようとしていた。