銀行の大きな問題は、彼らがその問題の存在を認めたがらないことである。バブル経済崩壊後、ホットマネーは不動産部門から撤退し始めた。日本の銀行は20世紀90年代から大部分の時間をその不良債権の相殺を回避することに費やし、経済の回復が不良債権をも元通りの状態にしてくれることを願っていた。それが可能であるならば、誰もが同じようにするだろう。彼らが何ら行動を起こさなかったことは、完全に理にかなっていた、が、それと同時に、大きな災難を孕んでいた。
彼らの望んだ回復は、とうとうその姿を現してはくれなかった。日本の不動産価格は下落する一方で、しかも多くの不良債権が住宅を担保にしていたため、日本の負債問題は良くなるどころか、かえって更なる悪化をたどる結果となった。
「失われた10年」は、銀行だけの責任ではない。日本中央銀行も一部その責任を負わなければならない。なぜなら、彼らもまたその危機に対し、速やかに対応しなかったからだ。1992年末、日本の基準金利は4%に近い状態を保ったままで、そこから1999年までゼロ金利の量的緩和政策を十分には行ってこなかった。
しかし、長きに渡ってほとんど進展のなかった状況に、思いがけない事態が起こる。
政府督促の下、日本の銀行業界は不良債権の切り離しを始め、更に小型銀行を大型銀行に吸収することで銀行システムを強化した。
月曜日、三菱UFJフィナンシャルグループ(JP:8306)(MTU) は、9月30日までの上半期の連結当期利益が前年同比で153%増、通期予想を上方修正する報告を出した。
先週も大手銀行2社の、みずほフィナンシャルグループ(MFG)と三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が上半期の連結当期利益回復と通期予想の上方修正を報告している。
間違いなく言えることは、「失われた10年」はすでに終結したが、日本の主な貸し手はまだ完全に安全な状態ではないということである。世界経済の不確かさが下半期に大きな負担をもたらすだろう。
もちろん、アイルランドの現状は日本とは異なっている。アイルランド政府は2008年9月に全ての国内大型銀行の預金と債務に対し担保提供しているが、これは明らかにその処理能力の範囲を超えている。
これにより、その危機は日本以上に深刻化している。更に、それはユーロ地域内の他の地区にも蔓延するリスクをはらんでいるのだ。(本文:Lisa Twaronite マーケットウォッチ東京支社長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月24日