資料写真:横井裕公使
2010年は日中関係においては激動の一年だった。年の瀬を向かえた先日、『国際先駆導報』は駐中国日本大使館の横井裕特命全権公使にインタビューを行い、この一年の中日関係を振り返ってもらった。『国際先駆導報』が伝えた。
(1)2010年中日関係の特徴と変化
『国際先駆導報』(以下「Q」):今年の中日関係にはどのような特徴があると思われますか?
横井(以下「A」):この一年で日中関係は大きく発展しました。上海万博では、日本館、日本産業館、大阪館の全てにおいて中国入場者の支持を得ました。また、中国人の日本観光ビザの緩和により、多くの中国人旅行者が日本を訪れ、日本国内も中国人歓迎ムードに包まれました。
しかし、9月の船舶衝突事件を機に、両国の関係は変化し、スムーズに行かなくなりました。ただ、そのような状況下でも両国の努力の下、首脳間で対話がなされ、両国の青少年交流も継続されています。これらの継続的交流が11月に横浜で開かれたAPECにおいて菅総理と胡錦涛国家主席との首脳会談を後押ししました。今年は、両国国民にとって、和すれば互いの利益となり、破すれば共倒れになることを再認識した一年でした。
Q:今年は両国の関係にどのような変化がありましたか?
A:今よく耳にするのが、中国のGDPが日本を追い越し、世界第二位になるという話です。1968年、私がまだ中学生だった頃、日本のGDPがドイツを追い抜き、世界第二位となり、そこから40年以上もこの状態を維持してきました。この間、日本は発展途上国から世界第二位の経済大国へとその姿を一変しました。その中には「軍事大国ではなく経済大国となるのだ」という国民意識を含め、様々な変化がありました。また、それまでの日本国民はヨーロッパやその他の先進国に対して羨望の念を抱いていましたが、GDPが世界第二位となった頃から、この意識も少しずつ変化し、日増しに成熟したものになっていきました。中国はもともと大国ですが、あの頃の日本と同じように、大国としての国民意識が更に色濃く成熟したものになっていくと思います。これも、両国関係の成熟化にとって有利なことだといえます。
Q:中国のGDPが日本を追い越すことで、日本の対中政策に影響はありませんか?
A:影響ありません。以前、日本も同じような時期を経てきました。今度は中国の番というだけのことです。今、日本の老齢化は世界トップレベルです。この問題をどう解決すべきかを考えるとき、大変重要な隣国、中国の経済発展は私たちにとっても喜ばしいことです。30年前、まだ貧しい国だった中国は、今や経済発展も目覚しく、市場も大きい。一隣国として、日本により有益なのはもちろん後者です。(記者=郭一娜))
つづき
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月24日