資料写真:日本の一戸建て
かなり前のことになるが、一戸建てを借りて住んでいたことがある。一戸建てと言っても、隣家と非常に接近して建てられた住宅で、日本の典型的な住宅景観のひとつである。どの家にも庭がついていたが、庭も隣家の庭と非常に接近していた。日本人は住宅の狭さを「猫の額ほどの」と形容することが多いが、それも無理はない。「猫の額ほどの」とは、「かわいそうなほど小さく、猫の額と同じぐらいの大きさしかない」という意味である。「日本新華僑報網」が伝えた。
その一戸建てに住んでしばらくすると、隣家の人とも自然と親しくなり、朝晩顔を合わせたときは、挨拶をするようになった。晴れていれば、「今日は本当にいい天気ですね」、曇っていれば、「雨が降りそうだから、傘を持っていったほうがいいですよ」といった具合に。挨拶を交わすとき、隣人はいつもにこにこと愛想がよく、軽く会釈をしたり、笑いかけたりしてくれて、とても和やかな雰囲気だった。
しかし、別の一面もあったのである。
ある日、親しい友人が私の家に泊まりに来た。東京から神戸まで車を運転して来て疲れているうえ、荷物もたくさんあったので、まずは家に上がってお茶を飲むように勧めた。荷物などはそのあとでいいだろうと思った。
一服しておしゃべりを始めると、私たちは話に夢中になってしまい、一時、玄関先に車を停めたままであることを忘れた。ほどなく、正確に言えば30分を過ぎた頃、突然ドアをノックする音が聞こえた。私は大声で「どなたですか」と尋ねた。
「警察です!」。相手の答える声も大きく、私と友人は思わず視線を合わせた。どうして警察がやって来たのか分からなかったからである。私はドアを開けながら、「何かご用ですか」と聞いた。