今の世の中の企業に対する信仰、特に大企業信仰はあまり良い傾向とは言えない。実は日本企業の99.7%は中小企業で、中小企業は必ずしも規模の拡大を望んではいないようだ。中小企業は隠れた王者であり、特定の分野や部品においては、中小企業が世界のトップである事も少なくない。中国の中小企業の場合、とりあえず投資家から資金を集めて上場し、あとは投資家の利益などお構いなしに大儲けするだけだ。
なぜ、日本の中小企業の社長たちは上場や規模の拡大に無関心なのだろうか、彼らは一体何を考え、何を目指しているのか。
以前、我々取材班は中小企業が集まる東京大田区で、企業の責任者たちに話を聞いた事があるが、彼らの考え方はこうだ。中小企業の社長は自身もほとんどがスキルを身につけたエンジニアである。彼らが生涯かけて追い求めるものは、自分の造った製品を世界一にすることであり、改良と研究を繰り返し、99.999%まで完璧を求めるのだ。製造業界における民営企業は、寿命が長く、安定した発展をする事が多い。彼らは爆発的な成功ではなく、長く続く栄光を手にしていたいのだ。世界の製造業では、ドイツと日本が世界一だと言うことを業界の人はよく分かっている。中国でも多くの企業が日本の中小企業に資本参加を申し出たが、興味を示す企業は少なかった。お金を持って来たからと言って、快く技術を提供したり、提携をしたりすると言う訳ではないようだ。魅力的な中国市場を餌にして誘惑しても、積極的には食いついて来ないと言う。
規模を拡大する事は必ずしも良い結果を生むとは限らないようだ。2年前のトヨタ問題が多くのマイナス的模範を示してくれた。アメリカの自動車メーカービック3(GM、フォード、クライスラー)が倒産寸前に追い込まれるなか、トヨタは世界一を何としても手に入れたいと考えた。それが全ての問題の元凶である。アメリカで発生した、ブレーキに始まるトヨタの大規模リコール問題は、最初はアメリカの会社に対してなされたものだったが、政府はお構いなしに日本のトヨタに対応を求めた。そこまで考えが及ばなかったトヨタが悪いと言う訳だ。そのため、発展するのは良いが、自分の手の届く範囲内でやる必要があると言うことである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年1月11日