2010年中国経済統計データを発表する国家統計局の記者会見において、日本の記者はこれまでさまざまな場所で繰り返されてきた質問をもう一度繰り返した。「経済規模が日本を越え、世界第2の経済体となるという事実について、中国はどう思うか?」環球時報が伝えた。
中国の経済規模が日本を上回るという議論がここ1年以上散々行われた今となっては、中国人はこの事実を非常に冷静に見ている。この質問に関心があるのは今や、日本の記者だけなのかもしれない。中国人が考えていることは、中国の一人当たりGDPが日本より少ないなどの、単純な問題だけではない。中国と日本の差は、数値の差だけではない。多方面ないしは全方位的な差だ。一人当たりのGDPが同じ4千ドルに達したころ、中国のかかえる難題は日本よりも複雑となるだろう。
1970年代中期、日本の一人当たりGDPは4千ドルに達した。当時の日本は60年代から始まった所得倍増計画により、すでに「富が均等に配分される社会」を形成していた。日本の今のジニ係数(ジニ係数とは0から1の間で表される数値で、社会における所得分配の不平等さを判断するための指標)は0.24だが、当時からすでに0.3以下だった。つまり、日本は工業化と都市化を果たす一方で貧富の差を大幅に縮めていたのだ。日本と似たような状況なのは、韓国と中国台湾だけだ。1963年、台湾のジニ係数は0.321で、1980年には0.277に下がった。世界各地を見ると、ラテンアメリカから東南アジアにいたるまで、多くの新興工業国家はほとんどこれと反対の道、すなわち、工業化・都市化の一方で貧富の差が拡大するという道を歩んでいる。ごく少数の東アジアの国と地域だけが「発展ののろい」に打ち勝ち、発展途上国の中で頭角を現し、特例となることができたのだ。