日本に留学中の友人、美さんを訪ねた際に、とても興味深い出来事があった。
とても社交的な美さんは、私が訪ねた数日の間にも、何人かの日本人の友人たちを紹介してくれた。その中の一人、洋子さんという女性は、特に印象に残った。洋子さんは容姿の美しさだけでなく、内面的な魅力も兼ね備えた女性だ。日本の銀行に勤める彼女は、エリートといってよいだろう。父親は早稲田大学を出て、日本のとある世界的企業の部長というから、家柄も裕福である。洋子さんは今年で28歳。今風の言い方をすれば、“剰女”(結婚しそびれた女性)ということになる。理想が高くて、選り好みをしているせいだろう、と私達は考えていた。
数日後、洋子さんが嬉しそうに、結婚式の招待状を持って私達のところにやって来るとは、想像もしなかった。その時、私達は喜んだと同時に、不思議に思った。喜んだのは、彼女が間もなく結婚すること。不思議に思ったのは、彼女がこんなに早く結婚を決めたことだ。興奮した美さんが、大慌てで彼女を部屋に上げると、二人は何やら大声で熱心に話し込んでいる。気を揉みながら横でその様子を見ていた私は、彼女達がお茶に口にした隙をついて、矢も盾もたまらずに声を掛けた。「洋子さん、お金持ちの人と結婚するんでしょ。それで、そんなに喜んでいるんでしょ」。私がそう言った途端、洋子さんと美さんは申し合わせたかのように、大声で笑った。
その後、洋子さんは真面目な顔になって、結婚相手は会社勤めの普通のサラリーマンで収入も多くないし、特に家柄が良いわけでもないと教えてくれた。実は、彼女達は4年も前に出会って、ここ何年かの交際を経て、互いに深く愛し合うようになり、更には、互いに共通する考え方や目標を持っていることから、一緒になることを決めたのだという。
「本当なの?あなたのような人が普通のサラリーマンと結婚するなんて、有り得ないじゃない?」、私には、まだよく理解ができなかった。「つまり、こういうことなのよ」と、美さんが横から助け舟を出してくれた。「中国では、結婚の話となると、すぐに、お金はあるのか、家はあるのかと言い出す女性が多いの。それ以外にも、家柄の釣り合いもかなり重視するわ」。
それを聞いた洋子さんは、笑いながら言った。「あら、私達、日本人女性はそうは考えないわ。普通、日本人女性が結婚相手を選ぶ基準は3つあって、それは共通の価値観があるかどうか、性格が合うかどうか、それから、安定した収入があるかどうかね。結婚を考える時、金銭面だけを重視することはないわ。相手の男性の年収についても、あまり多くを望まないの。私達は愛情と結婚の本質に立ち帰って、好きな相手と一緒になることだけを望むし、結婚で自分を高く売ろうなんて思わない。日本では、綺麗な女優さんでも、人気歌手でも、テレビ番組のアナウンサーでも、大富豪に嫁ぐ人は少ないわ。彼女たちがお金持ちとの結婚を望まないというわけではなくて、夫を選ぶ時には考え方の一致が最も大切で、お金が有るかどうかはその次だと考えているの」。
洋子のこの話を聞いて、私はすっかり驚いてしまった。その時、更に美さんが尋ねた。「洋子さん、あなた達の新居はどこなの?きっと素敵な家でしょうね。どれくらいの広さがあるの?」。洋子さんは落ち着いた調子で、こう答えた。「私の新居のこと?私と彼は賃貸のマンションに住むつもりなの。私達は結婚しても働くのだから、お金が貯まってから、また家を買うことを考えるわ」、と。(中国語記事は中国紙「青年参考」より)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年1月26日