百度の日本法人バイドゥの高橋さん
中国の検索サイトでは、百度(Baidu.com)が76%のシェアを占めている。その百度の日本法人バイドゥの高橋さんは、百度を活用した、日本からのマーケティングについて、活用事例を紹介した。
「2010年中国からの旅行者への日本の入国ビザ条件が緩和され、対象都市が、北京、上海、広州など全国7都市に拡大された。そこで、百度の検索傾向を見てみると、例えば、"日本旅遊"(中国語の"日本観光")という検索は、北京、上海は多いのに、広州は少ない。おそらく、広州からの旅行者は団体志向で、自分で情報を検索することが少ないと思われる。そこで、自由旅行のマーケティングをするなら、広州よりも北京・上海に重点を置くという方針が出てくる。」
また、「例えば、中国語で"服を買う"という意味の動詞入りの"买衣服"という言葉で検索した場合、百度では16,500件出てくるが、Googleでは3,600件しか出てこない。これは検索語に対する中国と外国との考え方の違いだ。さらに、"日本奶粉"と"日本 奶粉"というスペースの有無が、前者は1,054、後者は191という大きな違いになってくる。こうした検索エンジンの特性に合わせた、検索対策が必要だ」との話も興味深いものだった。
中国のインターネット利用で、現在大きく伸びているのはEC(ネットショッピング)関連です(年率80%の増加)。その中国EC市場の中でも76%のシェアを持つのがタオバオです。最近、そのタオバオについて初めて日本語で紹介する本を出した山本達郎さん(北京ログラス広告)は、タオバオでの成功例を通じて、中国でのビジネスについて紹介してくれた。
「2009年にタオバオに出店した日本のアパレルメーカーは、出店後11日間で410万元(約5億円)、2009年10月には1000万元(約1億3000万円)の売り上げがあった。特に、リアル店舗のない地方からの買い物が多く(2/3が地方からのオーダー)、この場合は、ブランディングに成功したことが大きな理由だろう。」
北京ログラス広告の山本社長
その他、タオバオのチャット機能を活用するためのスタッフを増強したり、配送体制を整備するなどサービスの徹底を図った企業、また最初の計画から出店まで3ヶ月で実現し、プロモーションも次々と打ち出すなど、決断力とスピードで成功している企業、そして、個人の成功例としては、2008年に日本人が始めた日本製粉ミルク販売ショップでは、実店舗と組み合わせて信用を得たり、徹底したチャット対応などによって成功し、今や月商100万元(約1300万円)以上に成長した例などを紹介した上で、最後に、日系企業へのアドバイスとして、山本さんは「1つは現地に合わせて物事を考えること。タオバオで成功した企業がほとんど現地ユーザーの目線に合わせて、サービスを徹底したり、配送期間を短くしたりして成功している。もう1つは、合わせていけない部分。日本なりのサービスの高さとか、日本のビジネスの進め方とか、そういう部分をしっかり守って、譲らないことが大切だ」と言ってくれた。
速いスピードで発展している中国のネット市場で、日系企業に元気を注ぐべく、いろいろ努力している日本の若手ビジネスマン。彼らの夢が実現するよう祈っている。
来場者たち
「中国国際放送局 日本語部」より 2011年2月9日