■「強い個人」と「プロデュース力」で勝負
――「失われた十年」や「失われた二十年」という言葉をよく聞きますが、日本は現状を突破するためにどうすれば良いのか、工藤さんの構想は?
たぶん経済の規模でトップを競う時代はもう終わったんですよ。一人当たりの所得とか豊かさを日本は目的にすべきだと思います。
だけど、一人当たりのGDPで見ても、日本は非常に後退してるんですよ。これを変えるために、経済の生産性を上げるしかない。また、構造改革が決定的に必要なのですよ。そのため、日本は世界に国を開かなければならないですね。その中で、日本の社会は新陳代謝をして、競争力がある経済体質に変えていくことが必要だろうし、何よりも強い個人の確立が大事です。
個々が自立した形での挑戦!政府とかにすべてを甘えて、その中で、いろんな形でお金をばら撒いていく社会では、もう持続はできないだろう。自分たちの将来を自分たちの力で描いていて、それを実現して、自分たちが政治を選んでいくという循環が始まっていく。その結果として、日本の新しい仕組みができていくということのスタートが始まりました。
日本という国は、危機があると、必ずそれを実現できるという非常に目が覚めるというのがあるんですね。たぶん日本の変化は将来的に見た時に、今年は本当にスタートになる年だと思います。
――新しい社会システムの構築に向け、日本の強みは何だと見ていますか。
危機の時の対応力ですね。ものを設計したり、マネージメントする力というのは結構強いですよ。簡単に言えば、プロデューサー力とでも言いましょうか。いろんなもののシーズや人とものをつなぎ合わせて価値を創造していく力は、日本はかなり強いと私は思っていますね。たぶんこれからは、そこの競争になるだろうと思います。
【プロフィール】 工藤泰志さん
1958年生まれ
横浜市立大学大学院経済学博士 課程中退
東洋経済新報社で『週刊東洋経済』記者、『金融ビジネス』編集長、『論争 東洋経済』編集長を歴任
2001年10月、特定非営利活動法人言論NPOを立ち上げ、代表に就任。
「中国国際放送局 日本語部」より 2011年2月15日