『香港商報』の先日の報道によると、日本の壊滅的な津波と地震は、制度上の問題と人的な手落ちによって起きた福島原発の放射能漏洩事件が相まって、世界的な恐慌状態を引き起こした。状況の推移の見通しが立たないために、世界的な資金の流れの方向性がはっきりしない事態になった。
世界の株式市場の恐慌状態は過ぎ去った
確かに、この日本の事件は日本の当日の株式市場で1000ポイント近くの下落を招き、香港市場や世界市場でも数日間連続の大幅下落となったが、現在では既に落ち着きを取り戻して更に上昇する傾向も見られ、4月の香港市場は25000ポイント近く上昇したがこれも珍しい事ではない。日本の事件の推移は不明瞭ではあるが、人の予想もつかないような新しい展開となる事はありえないと予測され、世界の株式市場は既にこの原発事故の影響を織り込み済みであるため、今後の市場には大きな影響を与える事はなく、とりわけ恐慌状態はもう収束したといえる。
世界の金融市場について言うと、日本円は更に円高が進む可能性がある。それは被害地の片付けと再建のために日本政府と企業が大量の投資を行なうため、巨額の円資金の需要が生じるためである。しかし円高の高止まりは日本経済には長期的には更に打撃となり、日本企業の輸出力を弱める事になる。不幸中の幸いと言えるのは、福島、宮城、岩手県等四県は、東京、大阪等の経済と貿易の中心地ではなく北海道のような観光地でもない事で、これらの地方は農業漁業生産を主としており、日本のGDPの5%足らずであり、日本経済の基礎に重大な損傷は生じていない。軽工業と電子工業の発展が維持でき、ブランド品の評価を保ち続ける事ができれば、長期的には状況を楽観的に見る事が可能だ。
原子力発電の発展に変化がないだろう
今回の事件は多くの一般民衆に原発に対する恐怖感をもたらし、この事で全世界規模の原発の発展計画を縮小すべき、再生エネルギーを更に大規模に活用すべきとの考えをもたらした。しかしこのような評価は少し大雑把である。
まず再生エネルギーの発電技術はまだ普及の段階に至っておらず、その発電コストもやはり驚くべき高さにあり、私的な発電企業は政府の大きな援助がなければ再生エネルギー発電ができない状況である。国有発電企業であっても長期に亘る不採算発電はできないし、唯一できる再生エネルギーの大規模拡大は、大幅な電気代の上昇をもたらし、大衆には受け入れられないし、発展途上国ではなおさらである。
それに加えて、再生エネルギー発電技術はいまだ完成の域に達していない事と、風力であれ太陽エネルギーであれ供給が安定していない状況にある。これに反して原子力発電は安定しており、コストも相対的には廉価である。更に技術はつとに成熟しつつあり、原子力発電はこれからの20年の主たる発電源となるだろう。これは今回の事件でも変わりはない。監視と管理制度をうまく行なう事ができれば、原発建設時に安全に足る措置を採る事ができ、国が大規模に増やそうとしている原子力発電比率を受け入れない意見を、余計な心配であるとする事ができる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年4月14日