1.2011年の中国経済の展望
2011 年の成長率については、目標は8%前後だが9~10%程度と見る向きが多い。2011 年を展望するにあたり、中央経済工作会議のポイントと「第12 次五カ年規画」(十二五)を概観しておく。
中央経済工作会議(2010 年12 月)では、持続的な経済発展のため「経済構造調整の加速と物価安定を突出した課題」と位置づけインフレへの対応が重要テーマとなった。経済政策の重点として、表2にある6点が示された。
2011 年は十二五(2011-15 年)の初年度である。十二五は、経済発展モデルの転換加速が主要目標に掲げられ、消費、投資、輸出のバランスのとれた経済成長、内需拡大の重要性が強調されている。とりわけ、消費需要を拡大させる長期的メカニズムの構築が重視されている点が注目される。全体としては表3に示す点がポイントとして指摘できる。
2011 年の中国経済を需要項目別にみると、次のとおりである。消費についてはここ2年ほど、自動車や家電を対象とする減税や補助金などの販売促進策が実施されてきた。こうした消費の拡大には需要の先食いといった面もある。「十二五」で企図されている消費拡大の姿はこれと異なり、所得の増加をベースとした持続性のある拡大である。所得の増加について2011 年は、賃金の上昇に加え、政府が各種の所得再分配を通じ低所得者層を中心に引き上げを進めていくものと考えられる。