2.在中国日系企業の経営状況
ジェトロが毎年実施している企業アンケート(注3) によれば、在中国日系企業における黒字企業の割合はここ数年低下が続き、特に2009年は金融危機の影響を受け著しく落ち込んだが、2010 年は危機以前の水準に復帰した(図3)。
(注3) 在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査(調査対象企業数1359社、有効回答率59.3%)
国際協力銀行が毎年実施している「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」によれば、日本の製造業企業が3年程度を展望した場合に事業展開先として最も有望とみる国は、2010年も中国であった(図4)。中国を有望視する理由としては、「現地マーケットの今後の成長性」と回答した企業が87.8%に達し、昨年の84.8%を上回った。以下、「現地マーケットの現状規模」(38.1%)、「安価な労働力」(35.3%)が続くが、「安価な労働力」については、昨年の44.0%から8.7ポイントの大幅ダウンとなった。
同調査報告では、中国の課題についても尋ねている。課題として挙げる日本企業の比率が最も高かった項目は、「労働コストの上昇」(56.3%)であった。これに「法制の運用が不透明」(55.7%)、「他社との厳しい競争」(50.3%)などが続く。またジェトロの企業アンケートでも、在中国の日系企業が経営上で最も強い関心を寄せているのは賃金動向であった(表4)。2010 年は5月から8月にかけ、大連、山東省、長江デルタ地域、珠江デルタ地域を中心にストライキが多発したこと、2009 年に見送られた最低賃金の引き上げが再開されたことなどが影響しているものとみられる。現在も日系企業の多くが、労働争議、賃上げの動向に注目している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年4月19日