2010 年、中国のGDP は日本を抜き第二位となった。成長率は10.3%で前年を上回ったほか、2010 年の経済目標を概ね達成した。今年は第12 次五カ年規画(以下、十二五規画)の初年度に当たる。十二五規画では「経済発展モデルの転換の加速」が主要目標と位置付けられ、「内需拡大戦略を実施し、消費と投資と輸出がバランスを取りながら成長する」ことを強調している。国民所得をGDP 成長率と同じペースで増加させること、社会保障制度を整備することなど、所得分配を通じて国民生活を改善する方針も示している。
十二五規画は基本的に十一五規画の内容をさらに一歩進めた内容になっている。その意味において中国ビジネスの大きな転換点は、5 年前の十一五規画のスタートであった。確かに日系企業など外資系企業の対中投資は、特にこの5 年間は中国の国内市場開拓を狙った案件が増えている。M&A による中国企業との提携や省エネ・環境保護分野の需要が急拡大したことに伴った投資などが目立っている。
2010 年の日本企業による対中投資は、前年比2.4%増と微増ながらも08 年以降増加し続けている(図1)。在中国日系企業の収益状況(注1)は、ここ数年低下が続き、特に2009 年は金融危機の影響を受け著しく落ち込んだが、2010 年は危機以前の水準に復帰した(図2)。中国は、日本企業が最も期待を寄せる市場でもある。
(注1)ジェトロ「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」(2010年版)調査対象企業数1359社、有効回答率59.3%